07/06/04 15:11:03
>>1の続き
■図面データが中国メーカーに渡ってしまう
さらにひどいのが、金型図面の流出問題だ。日本の金型メーカーに金型を作らせて、
「メンテナンス上必要だから…」と称して図面データを提出させ、その後中国金型メーカーに
その図面を提供して、作らせるというわけだ。日本の金型メーカーの大部分が多かれ少なかれ、
その種の経験をしているという調査結果もある。金型メーカーは今までのノウハウを注ぎ込んで
金型を作ったのに、データだけ使われて模造されたのでは、たまったものではない。
一般論の話だが、中国の金型メーカーは知的財産権に関する意識が薄く、CAD/CAM(コンピューター
による設計/製造)はコピー品を使っている場合が多い。日本で1セットにつき数百万円払っている
CAD/CAMが中国では電脳城で数百円で売られている。だいぶ前だが、私が行った見学先で、
「CADの導入費用はいくらか?」と聞いたら「200元だ」と言う。1台について200元だと思ったら、
三十数台のCAD全体で200元だと言うので、びっくりした覚えがある。
日本だったら三十数台分で、少なくとも数千万円は必要だろう。それがタダ同様であれば、
金型製造コストは当然安くなる。そういう事情は発注側も分かっている。知的財産権について
日頃うるさく言っている日系企業が、図面データを中国金型メーカーに横流しして、
発注するというのはまったくおかしい。
■口を閉ざしてしまう金型メーカー
金型の図面流出問題については、数年前に金型ユーザーに対し、経済産業省が警告のようなものを
出して、随分改善されたのだが、その後数年を経て、また元の木阿弥状態になってきた。
この種のことはなかなか実態がつかめず、告発しにくい。例えば私が金型メーカーを訪問して
個人的に聞く分には、いろいろ話をしてくれるのだが、経済産業省が「それでは正式に
調査しましょう」ということになると、すべての金型メーカーがピッタリと口を閉ざしてしまう。
うっかりしゃべって発注元にバレたらとんでもない報復をされるのが間違いないからだ
(だから「うわさ」で裁判せざるを得ないところがある)。
いずれにせよ、金型のようなサポーティングインダストリーは、製造業の足腰だ。
製造業の足腰を弱めれば、長期的に体全体に影響してくることを、金型ユーザーは知るべきだ。
◎ソース NBonline(日経BP)
URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)