07/05/24 21:23:50
政府は23日、ロシアが極東・東シベリア地域で計画している原子力発電所建設と
IT(情報技術)事業への協力を強化する方針を決めた。
安倍晋三首相が、6月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)の際に行われる
プーチン大統領との会談で表明する。同地域はロシアの人口流出に歯止めがかからず、
中国の影響力が増大しており、資源開発やインフラ整備で連携を強めることで中国を牽制(けんせい)
する狙いがある。
極東・東シベリア地域の資源開発をめぐっては、今月3日にモスクワで行われた日露外相会談で、
両国が今後、協力プロジェクトを発掘していくことで一致している。
日本政府はロシアが検討している原子力発電所建設への技術協力を視野に、両国の原子力協力協定の
早期締結を促したい考えだ。
IT分野では、北海道とサハリンを接続する海底ケーブルの年内敷設を確認するほか、液化天然ガス
(LNG)精製分野での技術協力などを進める方針。高速鉄道やその他のエネルギー分野での
技術協力も具体化する。
日露の接着剤となっているのは、極東・東シベリアに忍び寄る中国への警戒感だ。同地域からは
ロシア人の流出が続く一方、中国人商人が国境を越え流入し各地に中国人街ができている。
また、日本と中国が石油輸入ルートとして着工を競っていた東シベリアのパイプライン敷設計画は、
中国向けルートの建設が先行する見通しだ。
このためプーチン政権は、4月から国内の小売市場での外国人の営業活動を全面禁止したほか、
2012年までに同地域に4600億円を投資する大型プロジェクトを打ち出している。
日本側も極東開発での対露協力を通じ「ロシアからの資源確保を狙う中国の台頭を押さえ込んでいく」
(外務省幹部)という戦略を描いている。
小泉前政権下の5年半の日露関係は北方領土問題に前進がみられず停滞を余儀なくされた。
安倍首相は対露外交でも「共通の戦略的利益に基づくパートナーシップ」の構築を目指しており、
国益につながる分野では協力の拡大を積極的に推し進め、領土交渉促進へのテコにしたい考えだ。
ただ、ロシアは年末に下院選、来年3月に大統領選を控え「領土交渉は休戦を強いられる」
(日露関係筋)状況にある。