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労働コスト削減に期待高まる、クライスラー買収に対するUAW支持で
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米自動車業界は年金・医療保険の負担が大きな重しとなっており、数カ月前には
破産法の適用申請の観測まで聞かれていた。
しかし14日、一部のウォール街関係者からは、自動車業界が良い方向へ大きく
転換すると期待する声が聞かれた。楽観ムードの引き金となったのは、
ダイムラークライスラー(NYSE:DCX)が、不振の米国部門クライスラー・グループの
株式80.1％を未公開株投資会社の米サーベラス・キャピタル・マネジメントに
74億ドルで売却することで合意したことだった。
これを受け、投資家はダイムラークライスラーに加え、フォード・モーター、
ゼネラル・モーターズの株を買い上げた。全米自動車労働組合（UAW）が
サーベラスによるクライスラー買収を支持したことから、サーベラスが
今後、労組との交渉で譲歩を引き出し、”ビッグスリー”の労働コストが
ついに削減されるとの期待が高まったためだ。
ゴールドマン・サックスの自動車アナリスト、ロバート・バリー氏は「賢い人間で
あふれた企業が数十億ドルをクライスラーに投資することは、北米自動車事業に
対する信認の表れだ」とした。ゴールドマンは過去12カ月間でフォードとGMに
投資銀行サービスを提供しており、GM株を少なくとも１％保有している。
バリー氏はフォード、GMについて「ホールド」に相当する投資判断を
つけている。
ただ、一部の業界アナリストは、こうした楽観シナリオを受け入れていない。
サーベラスがクライスラーの労働協約の改定に成功し、フォードとGMが
それに追随したとしても、３社が長期的に生き残れるかどうかは依然として
不透明だとしている。
メリーランド大学のロバート・H・スミス経営学部のピーター・モリチ教授は、
「セント・パトリック・デーの午前２時にバーにいるような感じだ。みな、バーが
閉まるまであとどのくらい粘れるかについて話し合っている」と述べた。
同教授は自動車株は保有していない。
GMとフォードは過去20年近く、米国事業のリストラを断続的に行ってきた。
組合化されていない、低コストのアジアや欧州の自動車メーカーの攻勢に
押され、市場シェアの低下が続いている。UAWとの労働協約の下、ビッグスリーは
従業員の医療保険を負担しており、これが１台当たりの自動車生産コストを
約1500ドル押し上げる要因となっている。競争が厳しいため、価格引き上げで
これを相殺することはできない。
>>2に続く