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戦前に創業した仙台市の老舗書籍販売業「宝文堂」(鈴木久光社長)が、営業不振を理由に
6月末で業務を停止し、廃業することが16日、分かった。仙台では、数十万冊をそろえた
大型書店の攻勢にさらされ、地元書店の閉店や経営破たんが相次いでおり、また1つ、
名門書店の灯が消える。同社は郷土誌出版を数多く手掛け、地域文化を担ってきただけに、
惜しむ声が上がっている。
青葉区中央2丁目の本店のほか、市内のジョリ店、みやぎの店、塩釜市の塩釜店の全4店舗と、
宮城県美術館内の売店を閉鎖する。正社員25人を含む従業員約70人は解雇する方針で、既に伝えたという。
外商部だけは、福島県内の書店が仙台市に設立する子会社に営業権を譲渡することで合意。
宝文堂の屋号を使い、宮城県内で外回りを続ける。外商部の十数人は再雇用の方向で調整している。
同社は1936年に創業。45年7月の仙台空襲で店舗を焼失したが、
同年11月に本店所在地で再出発した。
仙台藩の正史「伊達治家記録」や「仙台空襲」をはじめ、「林子平」「土井晩翠」といった人物記、
「宮城県地名考」「新・仙台の散策」など膨大な数の郷土誌を出版。小中高校の教育書籍も扱い、地域文化を支えた。
仙台市の郷土史家らは「郷土資料の出版元がまた消える。地域文化の衰退につながらないか心配」
「一般客になじみが薄い郷土誌を、採算度外視で出版し続けたのだろう。仙台の文化の大きな損失だ」と残念がる。
仙台市内では、地元の協同書店が99年に閉店、高山書店が2002年に経営破たんした。
アイエ書店も06年に栃木県の業者に吸収合併され、仙台の老舗書店は金港堂を残すだけとなった。
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