07/05/08 10:39:08
トヨタ自動車傘下の富士スピードウェイ(静岡県)で開催されるF1日本グランプリ
(9月28~30日)が早くも盛り上がっている。開幕まで5カ月も先というのに
旅行会社が発売開始した観戦ツアーはバカ売れ。あまりの好発進に、「トヨタは
何をやらせても商売上手」との声も出ている。
【売り切れ続出】
「(トヨタの)関係者はチケットの売れ行きを心配していましたが、ツアー申し込みが
好調なのでかなり満足げでした」とは旅行会社関係者。
JTB、近畿日本ツーリストなど6つの旅行会社が4月2日に発売開始したオフィシャル
観戦ツアーは、JTBの「富士日本グランプリ観戦ツアー2日間」(7万5800~10万5800円)など
指定席とのセットがほとんど完売。近ツーでも「指定席のランクにもよるが、初日で
8割が埋まり、今はほぼ完売状態」(広報)という。
指定席のチケットは大人1人3万1000~7万1000円で、これを含めたツアー料金は
7万~10万円台と安くはないが、「今年の反応は明らかにダッシュ力がある」
(先の旅行会社関係者)そうだ。
【PR上手】
今年は、開催地が三重県の鈴鹿サーキットから富士に移った。関東方面から
アクセスしやすくなったのも好調要因の1つだが、自動車業界に詳しいPR会社幹部は、
トヨタの広報戦略のうまさに注目する。
「トヨタは7年前に富士を三菱地所から買収し、現在約94%の株を保有する大株主。
今回のF1はトヨタが開催するようなもので、失敗は許されない。成功させるために
さまざま“仕込み”をしている」
例えば、渋滞問題。期間中、28万人(想定数)が来場し、サーキット周辺は
大渋滞になる可能性があるが、「会場に出入りできる車両を専用バスや旅行会社の
ツアーバスに限定するなど早くから渋滞緩和策を打ち出し、これが話題をさらった」
(先のPR会社幹部)。
地域貢献を印象づける方法も一枚上。
「富士でのF1開催が日本全体に与える経済波及効果は約135億円。試算したのは
静岡大学だが、トヨタと富士との共同研究だった。鈴鹿(一説に100億円)を上回る
数字をトヨタ側が前面に出ずに広報するところがうまい」(同)
【商売上手】
このところ、トヨタの商売上手ぶりが目立つ。
まず2005年に開かれた「愛・地球博(愛知万博)」。トヨタのおひざ元での開催や
主催団体の日本国際博覧会協会を同社の名誉会長、豊田章一郎氏が務めたことから
“トヨタ博”とも称された。
「万博が珍しい時代ではないため、目標来場者数1500万人の達成が危ぶまれたが、
終わってみれば2200万人を突破。開幕前に800万枚の前売り券が売れ、万博の
収支が数十億円の黒字だったのはトヨタの底力なしには語れない」(自動車アナリスト)
トヨタが大株主で同年2月に開港した中部国際空港(愛知県常滑市)も同じ。万博が
終了し、特需が見込めないなか、07年3月期連結決算では2期連続の黒字を見込む。
「トヨタがコスト削減策を徹底指導した」(同)からだ。
商売上手なトヨタにとって、F1の表彰台に自チームが上がることができれば、
言うことなしといったところか。
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