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◇関西企業、再び広がる東京流出 相次ぐ合併背景
関西系企業が本社機能などを首都圏に移す動きが再び広がってきた。
百貨店の大丸が松坂屋との経営統合に伴って設立する持ち株会社の本社を
東京に置くことを決めたほか、コンビニエンスストアのローソンは大阪府吹田市に登記していた
本店所在地を6月に東京に移す。背景にあるのは、IT(情報技術)化による経営効率化と
相次ぐ経営合併。東京や名古屋の経済が勢いを増す中、自治体などが効果的な施策を
打ち出せなければ企業流出にますます拍車がかかる可能性がある。(若狭弘)
■目立つ製薬業界
首都圏シフトが目立つのは、大阪の主要産業の一つ、製薬業界だ。
大阪・道修町に本社を置いていた藤沢薬品工業が平成17年に山之内製薬と経営統合し、
「アステラス製薬」が発足したのを機に本社機能を東京に一本化したのに続き、
昨年10月には武田薬品工業が大阪市淀川区に置いていた研究所を神奈川県藤沢市に
移すことを決定。大阪府は武田薬品に総額200億円の補助金を提示して府北部の
「彩都」への移転を求めたが、引き留められなかった。
このほか、9月に松坂屋と統合する大丸は首都圏戦略を重視し、持ち株会社の本社を
東京に置くことを決定。大阪市に本社を置いていた情報サービス業大手の
日本システムディベロップメントも昨年12月、東京に本社機能を一本化したほか、
自動車部品製造のジェイテクトは昨年12月、本社機能を大阪からトヨタ自動車など
自動車産業が集積する名古屋に移した。
大阪府立産業開発研究所が資本金100億円以上の大企業を対象に調査したところ、
大阪だけに本社を置く企業は平成6年に92社あったが、10年後の16年には75社に減少。
取引先の移転を機に、中小企業が移転に踏み切るケースも増えているという。
■支社に格下げ
すでに本社機能などを東京移していた企業が実態に合わせるケースも目立つ。
大手商社の丸紅は4月1日付で大阪本社を大阪支社に“格下げ”した。
同社は昭和41年に大阪、東京の2本社体制に移行し、10年以上前からは
大阪本社は支社としての機能しか果たしていなかった。このため、
「呼称も実態に合わせた方がいい」という声が社内で出ていたという。
本店所在地を東京に移すローソンも同様で、
大阪で開いていた株主総会の開催場所も来年から見直す考えだ。
■ソフト充実を
府立産業開発研究所によると「サービス業や製造業では関西に本社機能を残している
企業が比較的多いが、金融・保険業、建設業、卸・小売業では営業や人事、
広報・IR、国際関連の機能を東京に移すケースが目立つ」(調査研究部)という。
産経新聞社が昨年暮れに関西に拠点を置く有力企業を対象に実施したアンケートでは、
関西から企業が流出する要因として、「東京への情報の集中」を上げた企業が圧倒的に
目立っていた。その半面、インフラ整備に対する不満は少なかった。ビジネス環境の整備や
情報発信機能の強化といったソフト面での施策を充実させることが、
大阪からの企業流出に歯止めをかける特効薬といえそうだ。
ソース(産経新聞)URLリンク(www.sankei-kansai.com)