07/04/28 11:04:30
米国では「ゲーム界のグーテンベルグ」とも言われた久夛良木氏の退任について、
PS3の立ち上げ失敗からの立ち直りを目指し、体面を保つための解雇だとの見方も出ている。
ソニーの主力ゲーム機「プレイステーション」の生みの親が、6月で退任する。
同社はゲーム業界の独占状態を維持し、エレキとエンターテインメントにおける草分けの
名声を復活させようとして苦戦中だ。
ゲーマーの間で象徴的な存在である久夛良木健氏(56)は、ソニー・コンピュータエンタテインメント
(SCE)会長兼グループCEOの職を退く。ソニーが4月26日に発表した。
後任には、平井一夫社長兼グループCOOが就任する。
久夛良木氏は2006年12月にSCEの社長を辞任し、経営の一線からは退いたが、会長兼CEO職には
とどまっていた。
久夛良木氏が生み出した最新作のプレイステーション 3(PS3)は2006年11月に登場したが、
生産が追いつかないという失態に見舞われ、600ドルという値段にも一部のソニーファンから
高過ぎるとのクレームが付いた。過去数カ月の間、ソニーは売り上げを伸ばすため、
ゲームタイトル無料提供などの販促戦略に訴えていた。
ソニーは、若い男性を中心としたいわゆる「ハードコア」ゲーマー以外へのユーザー拡大でも
苦戦している。ソニーの製品が女性や低年齢層、高齢層に関心を持ってもらえず、結果として
市場シェアが縮小していることに対し、投資家からは数四半期前から不満が出ていた。
2006年後半、任天堂が競合ゲーム機の「Wii」を約250ドルで発売したことにより、
ソニーのユーザー層が限られているという問題が浮き彫りになった。
Wiiは手首に取り付ける小型コントローラ付きで、グラフィックスのリアルさという点では不十分。
しかし少女や母親、高齢者など、自分がゲーム好きだなどと思ったこともないユーザーの間で
予想外のヒットとなった。
2006年12月31日までにソニーが世界で出荷したPS3は184万台。
一方、任天堂は319万台のWiiを販売した。
宿命のライバル任天堂に敗れたことが引き金となり、ソニーのハワード・ストリンガーCEOは
復活に向けた取り組みを強化。11月には久夛良木氏を降格させ、経営責任をはぎ取った。
ストリンガー氏はウェールズ出身で、国外出身者として初めて同社CEOに就任した人物。
ソニー幹部は26日の発表内容以上のことはコメントしない方針だ。
Sony Computer Entertainment America広報のキンバリー・オツマン氏は談話で次のように
述べている。「久夛良木氏はしばらく前からこの決定について考えていたと述べている。
ソニーとSCEは今後も幅広い観点から久夛良木氏の助言とアイデアを求め、
引き続き同氏の夢の実現を最大限にサポートする」
Time Magazine誌が2004年、「ゲーム界のグーテンベルク」と名付けた久夛良木氏は、
6月19日付で退任する。その後はSCEの名誉会長となり、ストリンガー氏の上級技術顧問を務める。
久夛良木氏は顧問の職にとどまるが、米国のゲーム専門家の中には、今回の退任は対面を保つための
解雇であり、PS3立ち上げの失敗から立ち直ろうとするストリンガー氏の取り組みだったかもしれない
との見方もある。
※まだ続きます。