07/04/19 11:50:42
米ラスベガスで開かれているNAB(放送機器展示会)の初日、
グーグルのエリック・シュミットCEOをスピーカーにした昼食会が開催された。
ネット広告大手のダブルクリック買収や、米ラジオ最大手のクリア・チャンネル
・コミュニケーションズとの広告仲介での提携など、
グーグルは立て続けに大きなビジネス成果を発表し注目を浴びている。
昼食会では、メディア広告への進出戦略やYouTube(ユーチューブ)の著作権問題など
多方面の事業について、シュミットCEO自身が率直な意見を披露した。
■既存広告ビジネス、ハイテクで活性化
検索連動型広告でトップを走るグーグルは最近、ハイテクを武器にラジオやテレビ、
雑誌、新聞など既存メディアの広告業界への食い込みに力を入れている。
今月、同社は675局のラジオ局を持つ米最大のラジオシンジケーション、クリア・チャンネル
から広告販売契約を取り付ける一方、マイクロソフトとの買収合戦に競り勝って
バナー広告などネット広告最大手のダブルクリックを31億ドルで買収した。
昼食会に出てきたシュミット氏はまず、クリア・チャンネルとの契約について
「既存代理店と競争するわけではない。契約では、新規顧客を開拓することが主な内容だ」
と説明し、既存の広告代理店との摩擦を避ける姿勢を見せる一方、「わが社のネットワークを
使えば、クリア社の広告収入を確実に拡大できる」と強気の発言もおこなった。
グーグルの営業部隊が広告を仲介する一方、クリア社とグーグルの広告システムをネットで結び、
迅速な広告枠の確保や変更、フィードバックなどに対処するという。
シュミット氏はラジオ業界の成熟化に伴い、広告収入の頭打ちが鮮明になるとともに、
広告営業システムの老朽化も進んでいると指摘。グーグルの持つハイテク広告管理システムと、
キーワード連動型広告で築いた幅広い広告主との関係を利用すれば、こうした壁を打ち破り
広告収入を拡大できると分析している。
クリア・チャンネルは、1990年代に地方ラジオ局の買収を繰り返し、急速に事業拡大を進めて、
全米最大のラジオシンジケーションとなった。しかし、ここ数年は広告収入が伸びず、
事業不振に陥って買収目標になっているとの噂が絶えない。
こうしたなかグーグルがあえて契約に踏み出したため注目を浴びたわけだが、
シュミット氏はクリア社の営業再建に自信を見せていた。
一方、ダブルクリックについては「検索連動型広告ではグーグルがトップだが、
バナーなど伝統的なネット広告は弱い」とし、「この分野でトップを走るダブルクリックは
広告主へのフィードバックシステムなどで優れたツールをたくさん持っており、
当社にとっては大きなメリットが期待できる」とその買収目的を明らかにした。
この買収劇には、マイクロソフトが交渉を先行させ、それに割り込んでグーグルが競り勝った
という背景がある。そのためマイクロソフト側は「ネット広告での独占が進む」と不満を
強めている。これを受けシュミット氏は「(ほかの会社ならいざ知らず)マイクロソフトに
独占で文句を言われる筋合いはない」と語り、聴衆の大きな笑いを誘う場面もあった。
※まだ続きます。