07/04/11 16:48:59
電気をどの会社から買うのか選べる「自由化」を、一般家庭にも認めるべきかどうか―。
こんな議論が13日から、経済産業省の審議会でスタートします。電力業界は「電気のような
公共性の高い商品を完全に自由化することは問題だ」と主張します。確かに欧米では、
自由化後に混乱が起きました。かといって、このまま「独占」を続けた場合の弊害も、
とても大きそうです。
◆「独占」に批判 不祥事も後押し
日本では00年から、企業など大口顧客は、どの会社から電気を買うのか選べるようになった。
電力需要の6割が自由化されたことになる。しかし、実際に大手10電力会社が競争し、
顧客の地元ではない電力会社が売り込みに成功した例は、九州電力の1件だけだ。ほかの分野からの
新規参入会社が電力事業を始めることも認められ、00年以降に石油、ガス、商社などの参入が
本格化した。「競争によって電気料金は2~3割も下がった」と、大手電力会社幹部は強調するが、
電力需要に占める新規事業者のシェアは、いまだに数%どまりなのが実情だ。巨額の投資が必要な
水力や原子力を使えない新規事業者は石油系燃料に頼るため、原油高による発電コストの
上昇によって価格面で苦戦。温暖化防止のため、二酸化炭素排出量の削減目標を掲げる企業や
自治体が増えたことも、石油系に依存する新規事業者には逆風となり、電力事業の縮小や撤退が
相次いでいる。こうした状況に対して公正取引委員会は「購入先を選ぶ機会は、電気はほかの分野に
比べて著しく低く、選択の可能性が広まったと評価しがたい」と指摘。料金は低下しているという
業界の主張に対しても「日本の電力価格は依然として、米国の2倍以上だ」と反論する。
東京電力や北陸電力の原子力発電所での不正が長期間にわたって隠蔽(いんぺい)されてきた
事実が発覚したことも、「自由化論者」にとっては追い風となった。「独占にあぐらをかき、
経営に緊張感が失われていたことが、不正の温床になった」という批判が、ここに来て急速に
高まっている。それでも電力業界や経産省は、家庭用電力の自由化には慎重姿勢だ。「欧米では
完全自由化によって、安定供給に支障が出ている」と指摘。「電気のような公共性の高い商品を
安定した価格で供給するためには、市場原理にすべてを委ねず、規制を残すことが、結局は
消費者の利益になる」と主張する。
13日からの自由化論議では、「競争至上主義は本当に良いことなのか」と疑問を投げかける
電力業界・経産省と、「もっと競争を進めた方が価格やサービス面で消費者の利益が増える」という意見が、
真っ向からぶつかり合うことになる。【以下>>2以降に続く】
朝日新聞 URLリンク(www.asahi.com)