07/02/10 20:54:22
石炭や鉄鉱石の需要が世界的に伸びる中、石炭生産で世界4位、鉄鉱石生産で世界2位の
オーストラリアが資源産業の活況に沸いている。
豪州の炭鉱や鉱山に権益(生産の取り分)を持つ日本の大手商社も「資源バブル」の恩恵を受け、
2007年3月期は好決算を予想する。ただ、石炭は豪州の一部で進んだ無秩序な開発が価格の
下落を招いており、開発投資の勢いが鈍る可能性もある。
・人手不足
豪州東部のクインズランド州にあるブラックウオーター炭鉱。
三菱商事が開発費の50%を拠出し、採掘量は年間1300万トンに上る。
広大な露天掘り炭鉱では、高さが3階建てのビルほどの「ドラッグライン」と呼ばれる掘削機が、
ひとすくい200トンの巨大なシャベルで石炭を掘り、タイヤが直径3メートルもある大型ダンプカーで、
ひっきりなしに運び出している。
コークスの原料となる原料炭や、鉄鉱石の国際価格は2005年に前年の2倍に急騰した。
中国やインド、ブラジルなど新興国の需要増が価格急騰の主因だ。
「資源バブル」の中、豪州では資源開発関連の人材や資材が不足している。
大学で地質学などを学んで鉱山技師として雇われると最初の年から円換算で約1000万円の
収入が得られるという。大型ダンプの運転手も年収約1000万円で、豪州の平均年収(約600万円)を
大きく上回る。炭鉱は、南アフリカやカナダなどからも人を集め、人手不足を補っている。
・鉄と石炭で明暗
豪州の資源開発に投資する日本の大手商社も業績は好調だ。三菱商事は07年3月期の
連結税引き後利益を過去最高の4000億円と予想し、このうち1000億円分が豪州の
石炭事業の貢献によるという。三井物産も豪州の鉄鉱石事業の収益が伸び、07年3月期の
連結税引き後利益は過去最高の3000億円となる見通しだ。
しかし、豪州も「資源バブル」に浮かれてばかりはいられない。原料炭価格は、06年に米ドルで
前年比8%低い1トン当たり115ドルと3年ぶりに下落し、07年の価格も同15%下落した。
07年も価格が上昇した鉄鉱石とは好対照だ。
原料炭価格は04年(約56ドル)に比べれば2倍程度と依然高い。「新興国の需要が旺盛で、
大幅な下落は考えにくい」(日本貿易振興機構の平野修一・市場開拓部主査)との見方は多い。
一方、三菱商事の岩田哲郎理事は「豪州の一部で行われた無秩序な石炭開発が価格下落を招いた。
今後の投資は慎重になる可能性もある」と話しており、今後の開発動向が注目される。
ソース
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