07/01/15 07:28:01
87年の分割民営化を挟む国鉄末期からJR初期にかけて、旧国鉄ローカル線を引き継いだ
第三セクター鉄道のうち、現在も運行中の全国28社について、朝日新聞社が経営状況を調
べたところ、半数近い13社が開業以来、経常損益で赤字を計上し続け、うち2社は赤字を補
うはずの基金がゼロになっていることが分かった。一方、06~09年度中に基金が底をつく
見込みの三セクも他に5社を数え、基金枯渇が深刻なケースなど4社の路線をめぐっては
存廃議論が起きている。
各三セクの基金は、発足当時の国の「転換交付金」(路線1キロあたり3000万円)と、沿
線自治体の出資が主な原資。多くの三セクは、運用益を赤字の穴埋めなどに活用する経営
安定策をとった。しかし、利用客の減少が加速し、超低金利も続く中で05年以降、すでに3
社は廃線・運行休止している。20年前の国鉄改革で切り離された路線の多くが、苦境にあ
えぐ実情が浮かび上がった。
アンケートなどを通じて調査を実施し、全28社から回答を得た。
開業後ずっと赤字経営と答えた13社のうち、05年度に約5000万円の経常赤字だった明
知鉄道(岐阜県)は、計3億円余りにのぼった二つの基金が03年度に底をついた。05年度
の経常赤字が約6300万円の三木鉄道(兵庫県)も、ピーク時の基金約1億2000万円が
97年度でゼロになっている。両社は現在、沿線自治体からの補助や借入金でしのぐ。
基金が枯渇しかけている5社中、真岡(もおか)鉄道(茨城、栃木県)は05年度末残高が約
5500万円。北条鉄道(兵庫県)も同810万円しかなく、ともに06年度中には残高が尽きる
としている。
三陸鉄道(岩手県)も07年度、天竜浜名湖鉄道(静岡県)が08年度、若桜(わかさ)鉄道
(鳥取県)は09年度に基金が底をつく見込み。
地元で廃線が検討・議論されていると回答したのは、樽見(岐阜県)、三木、若桜の3鉄道。
いずれも利用者減などによる経営難が深刻で、若桜鉄道は「基金の枯渇問題が存廃議論
の契機となった」。ほかに、いすみ鉄道(千葉県)は「存続、廃止など、今後のあり方について
議論されている」と答えた。
すでに、05年には高千穂鉄道(宮崎県)が経営を断念。北海道ちほく高原鉄道や、神岡鉄
道(岐阜、富山県)も06年、廃止された。
三セク転換に伴い、国からは当時、各鉄道への財源支援措置があった。だが、バブル経
済崩壊後、超低金利で自前の基金は運用益が生まれず、道路整備の進展などに伴うマイ
カー利用の増加、少子化による高校生ら通学客の減少なども追い打ちをかけている。
各三セクは人員削減のほか、増収策にも取り組んでいるが、抜本的な対策にはなってい
ないのが実情だ。
(ニュースソース)
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