07/01/07 18:00:33
経済成長に伴う大量の二酸化炭素(CO2)排出で、環境問題に苦悩する中国に対し、
日本はじめ世界の民間企業が熱い視線を送っている。
中国側の環境意識の高まりによって、排ガス処理施設などの受注拡大を期待。
さらに、来年からスタートする地球温暖化防止のための京都議定書に絡んで、CO2など
温室効果ガスの排出量取引が大きな市場となるからだ。
環境ビジネスの最新の動きを追った。
中国全土の石炭の四分の一を産出する山西省。同省の大都市、太原市は盆地で空気が流れにくく、
大気汚染が中国で最もひどいといわれる。
年間五百万トンの鉄を生産する太原鋼鉄集団公司の郭俊才部長は「環境への投資は中国の企業に
とって喫緊の課題だ」と指摘する。
工場の一角にある廃熱回収施設は、日本のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の
事業で設置した。余分な熱をためて、パイプラインで暖房などに再利用できるのが“売り”だ。
郭部長によると、施設の購入に当たっては、入札制度をとるが、日本が受注することが多いという。
NEDO国際事業統括室も「中国で製品の良さが知られ、十件以上の受注が舞い込んだ」と、
そろばんをはじく。
一方、京都議定書に定められた排出権取引も、一大ビジネスにつながる可能性を秘めている。
議定書では、例えば先進国が途上国に資金や技術を供与して、CO2排出を削減した場合、
その分を自国の削減量として算入する排出量取引を認めている。
日本は二〇〇八-一二年までに一九九〇年比で6%削減しなければいけないが、〇五年には逆に
8・1%増えた。
目標達成のためには、政府や電力会社などの企業はこのシステムを利用せざるを得ない。
このため、排出権ビジネスには、国内のエネルギー関連会社のほか、排出権の売買を目指して、
商社までもが続々と参入。
世界銀行のまとめでは、〇一年の取引量は千三百万トンだったが、〇五年には三億七千四百万トン
と急増。市場規模も百億ドルに達するなど、世界各地でCO2の争奪戦は激しくなっている。
〇二年に民間で最初に参入した豊田通商エネルギー企画グループの山口智市課長代理は
「社会貢献につながるだけでなく、事業としても大きく期待している」と意気込む。
狙うのは、中国やロシア。
環境技術が遅れている国では、小さな投資で多大な温室ガス削減効果を得られるためだ。
日本では、政府の事業承認件数は〇二年から〇五年末まで四年間で三十五件だったが、昨年一年間
だけで六十三件と一気に増えた。
このあたりに、利潤を追い求めるしたたかな企業の計算が見え隠れする。
ニュースソース:URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)