06/09/13 21:40:02 tUGJyhaV0
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な
笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。スカートのプリーツは
乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくり歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
私立リリアン女学園。
明治三十四年創立のこの学校は、もとは華族の令嬢のためにつくられたという、
伝統あるカトリック系お嬢さま学校である。
東京都下。武蔵野の面影を未だに残している緑の多いこの地区で、神に見守られ、
幼稚舎から大学までの一環教育がうけられる乙女の園。
時代が移り変わり、元号がが明治から三回も改まった平成の今日でさえ、
十八年通い続ければ温室育ちの純粋培養お嬢さまが箱入りで出荷される、
という仕組みが未だに残っている貴重な学園である。
それにしても、マークやエンブレムは本来、軍隊や国家、学校や会社など、何かに帰属することを表す。
今、若い女性には「愛されOL」系のモデル、エビちゃん(蛯原友里)が人気だが、これからは男性にとっての理想像も
「さわやか正社員」系になるのかもしれない。そういえば、
自らの国家や民族に固執する右翼系の若者が世界的に増えているという事実も、多少気になるところだが。