06/12/05 02:25:30 0
・一兆三千七百十六億円-。日本とオーストラリアが経済連携協定(EPA)を締結し、両国間の
関税が完全撤廃されると、肉牛、小麦、乳製品、砂糖の主要四品目関連だけで巨額の生産額
減少を招くとした道の試算が波紋を呼んでいる。数字は大げさでないかとの見方が一部にある
一方で、EPAの影響は極めて深刻だとの受け止めも多く、道内関係者に危機感は広がっている。
「関税がなくなったら、畜産、小麦、ビートで支えられている十勝の農業は壊滅する」。
十勝管内新得町農協の伊藤政光組合長はそう言い切った。酪農を営み、日豪の酪農事情に
詳しいだけに、「最悪のシナリオ」が頭から離れない。
オーストラリアの酪農は放牧中心で、低コストで大量飼育が可能。一キロ当たりの生乳価格は
二十円台で、道産の約三分の一だ。また、道内の乳牛の肉牛としての取引価格は、最高ランクで
一頭(約五百キロ)四十五万円だが、豪州産は同等で一頭十五-二十万円。伊藤組合長は
「豪州産とは(価格の上で)とても競争できない」と話した。
道は関連産業でも四千億円以上の生産額減少を見込んだ。
例えば小麦は、製粉された加工品が低価格で輸入されるため生産停止に追い込まれ、製粉
会社の生産額はゼロになると予想している。
これに対し、道製粉工業協同組合(札幌)の安孫子建雄理事長(江別製粉社長)は「安い豪州産
小麦を輸入し、消費者の需要に合った粉をつくれば採算は取れる。製粉会社の生産額がゼロに
なることはない」と道の試算に懐疑的だ。一方で「製粉会社の経営環境が厳しくなるのは確かだ」
と言う。
道内の地場製粉会社は近年、差別化を図るため、道産小麦を積極的に活用している。
道産小麦の生産者の手取りは一トン当たり十五万円。このうち十一万円は関税などを原資に
した補助金で、製粉会社の仕入れ価格は四万円で済んだ。
関税が撤廃されれば、補助金がなくなり、道産小麦を扱う農家が減り、道産小麦の流通量が
減って仕入れ価格の高騰も必至だ。(>>2-10につづく)
URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)