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時代の曲がり角とは、こうしてひょいと目の前に現れ、いつの間にか曲がっていた
ことに、後になって気付くのだろう。防衛庁を「省」に昇格させる「防衛省」法案が
衆院本会議を通過した。
▼日々、口にのぼせる官庁の名が変わることは、人々の意識を変える。「労働省」が
「厚労省」になって「職安」が「ハローワーク」と変わる。「下請け」や「日雇
(ひやと)い」は「派遣」や「パート」に変わって差別の本質がぼかされ、格差は
広がった。
▼「防衛省」は「庁」から脱することで、国民の「軍事」に対する歯止めの意識を
失わせるのではないか。いや、もうそうなっているから、かくも易々(やすやす)
と法案は通ったのか。多国籍軍としてのイラク派遣を、本来任務からはずすよう求め
ていた民主党はこの条件を取り下げて賛成に回った。
▼九条改正を眼目とする憲法改正は、自民・民主大連立か、民主党政権で可能になる
と予測する議員がいたが、すでに昨夏、与党が三分の二を占めた郵政解散総選挙こそ
曲がり角だったか。
▼元国連事務次長の明石康さんが、入門書として定評ある『国際連合』(岩波新書、
一九六五年刊)を、日本の加盟五十周年を機に、二十年ぶりに『国際連合 軌跡と
展望』として全面刷新した。
▼この間、カンボジアや旧ユーゴで事務総長特別代表も務めた明石さんは「国連の
現実に失望はしても努力に幻滅してはいけない」とし、加盟時に憲法前文を引用し
つつ「国際社会において名誉ある地位を占めたい」と演説した重光葵外相の決意を
あらためて想起しようと呼びかけている。
■ソース(東京新聞)
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)