06/11/12 04:38:46 0
「近頃は支持者から『自民党に移ったらどうか』とよく言われる。自民党に行かないから
冗談交じりでそんなことを言うのだが、それほど今の民主党に不満を抱いているという
ことだろう」
民主党の中堅議員にこんな話を聞いたので驚いた。そういう話題とは最も縁遠そうな
タイプである。この議員は「無党派層へのメッセージが欠けている。そこに訴えないと
参院選の比例代表の票は取れないし、地方の一人区も県庁所在地で圧倒するぐらいで
なければ勝てない」と、来年度の参院選への危機感を示す。
小沢一郎代表の地方重視の参院選対策や、社民党などとの国会、選挙共闘に重きを
置く路線には違和感がある。しかし無投票で再選を果たした小沢氏や執行部に表立って
異論を唱えにくい。そんなもやもやした不満が民主党内に澱(おり)のようにたまっている。
ある若手は「党内がばらばらだと批判されることへの恐怖症があって、党をどうすべき
なのかという必要な議論もできない」と自嘲気味に語る。
安倍政権が誕生してから変化したことの一つは。自民党支持率の上昇だ。9月の組閣
直後の本紙世論調査で、自民党支持率は55%に達し、小泉政権最後の自民党支持率
を11ポイントも上回った。10月調査でも51%の高水準を保っている。かたや民主党は
20%で、半分の水準にも届かない。
民主党の若手が好きな言葉を使えば、有権者には民主党の「立ち位置」がさっぱり
わからない。野党共闘優先路線により、安全保障などの基本政策のあいまいさが一段と
際立つ。防衛庁の省昇格法案はかねて小沢氏が賛意を示し、党内には賛成論が多い。
にもかかわらず、防衛施設庁の談合事件の解明が不十分なことなどを理由に、反対
すべきだという意見が出る。重要法案への対応が決まらない奇妙な状態が続く。
現在の民主党の問題は、伝えるべき「政策」が定まらないことだ。「ばらばら恐怖症」の
呪縛を解いて、もっと本音で党内議論をするしかない。 (一部略)
日経新聞06.11.12朝刊二面「風見鶏」