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段取り、根回し、すり合わせ、落とし所に駆け引きも。会議や集会を滑らかに
進める名目で、古来世間で用いられてきた「手口」の数々だ。裏に回っての下準備
には暗さがつきまとうが、やり方次第で会議の運びが変わることはある。
政府が主催する教育改革タウンミーティングで「やらせ質問」があった問題で、
文部科学省が質問案づくりに積極的にかかわっていたことが分かった。教育基本法
を所管する文科省が、その改正などについて自らの意向に沿う内容の発言が会場
から出るように仕組んでいたという。
これは古来の「手口」から大きく外れている。やらせによる発言が開催地での
意見や質問とされたのでは、「世論の偽造」と言われかねまい。会議の運びや
省益にとらわれることなく、慎重にことを運ぶべきだった。タウンミーティング
を始めたのは小泉前首相で、安倍首相は官房長官としてその責任者だったことがある。
もう一つ、政府として慎重に運ぶべきだったと思われるのが、総務相によるNHK
の短波ラジオ国際放送への放送命令だ。放送法で、命令を出す権限は認められている。
重点的に扱うよう命じた「北朝鮮による日本人拉致」は、確かに重要な問題だ。
しかし、将来どんな名目が出てくるかは分からない。
何より、メディアに対し、政府が命令して放送をやらせるという構図が前時代的だ。
戦後も60年以上たったが、この国の言論の自由の危うい一面を考えさせられる。
やらせにせよ、やらせるにせよ、権力が世論やメディアを操っていいはずが
ない。
■ソース(朝日新聞)
URLリンク(www.asahi.com)