06/11/11 13:50:25 VoUmL9kN0
てもいい?」彼女は頷いて、僕の袖を掴んだ。
僕はタクシーを拾って、札幌の南の方角へと走らせた。
彼女は疲れていたのだろう。タクシーに乗るとすぐに眠ってしまった。
それを見た僕は運転手に向かって小声で「池見学園近くのセブンイレブンに向かって下さい」と言った。
あの時、僕の唇が少し緩んだのを、運転手の男は気付きもしなかっただろう。
セブンイレブンに着くと、店の駐車場に用意しておいた乗用車に、眠ったままの彼女を乗せた。
僕はトランクに入れてある荷物を確認すると、そのまま簾舞霊園の方へと車を走らせた。
霊園の手前の坂で車を止めて一服していると、彼女がふと目を覚ました。
「あっ…土屋さん。だいぶ疲れてたみたいだね。気分はどう?」僕はやさしく話しかけた。
彼女は驚いた顔をした。それも仕方ないだろう。僕が彼女の本名を知っているはずが無いからだ。
彼女は僕の知り合いにも偽名を使っていた。でも僕は、彼女のことを何もかも知っている。
「あの…言い忘れてたんだけど…」僕は、顔の引き攣った彼女を見ながら、続けた。
「僕は…モグの父親なんだよ。」そう言った瞬間、彼女は車から逃げようとした。
逃げようとする彼女の腕を掴むと、僕は口と手にガムテープをがっちり巻きつけた。
僕は、怯える彼女ににっこり微笑みかけると、車の後部へ案内した。
「ほら、君のお友達もいるから大丈夫だよ。」そう言ってトランクを開けると、
彼女の友達、森貝君の遺体と、彼氏のしょた君らしきエビフライが、無造作に横たえられていた。
「ーーーーーーーーーーっ!!!」声にならない声を上げた彼女は、ショックで気を失ってしまった。
宵も眠る丑三つ時。簾舞霊園近くで、穴を掘る音が鳴り響いていた…。