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・中露韓には30万人、日本にも20万人―。韓国と日本政府が極秘に北朝鮮からの難民に
ついてそれぞれこんなシミュレーションを行っていた。
いずれも1990年代に行っていたものだ。日本政府は第一次核危機で揺れた94年6月、
当時の内閣安全保障室が「大量避難民対策について(案)」を作成。一方、韓国政府は
金泳三政権下の97年7月に北朝鮮急変対策「30日計画」をまとめていたのだ。
日本政府の「対策」を議論するたたき台となった内部メモでは、当時、北朝鮮政府の崩壊や
社会混乱の生じる原因として、「想定される事態」7パターンを次のように挙げていた。
(1)金日成の死亡による権力闘争・内乱(2)金正日グループと反金正日グループとの
権力闘争・内乱(3)反金正日グループによるクーデター・内乱(4)南への軍事進攻による
戦争の勃発(5)国際的な経済制裁による社会的混乱(6)経済破綻による社会的混乱
(7)民主化・自由化に伴う社会的混乱
このうち「金日成の死亡」を「金正日の死亡」と読み替えれば、現在でもほとんどが当てはまる。
そのうえで、(1)北朝鮮政府の崩壊・内乱等による社会的混乱を逃れてくる避難民
(2)クーデターによる政権交代、または現政権の政策変更で国内の自由化・民主化が
進み、従来の管理社会、鎖国状態が緩んだ結果、出国し到来してくる者という2種類の
難民があると想定している。これも現在でもそのまま当てはまる分類だ。
一方、韓国政府の「30日計画」によると、「大部分は、北朝鮮との国境線地域から中国、
ロシアなどに脱出し、一部は、海上や休戦ラインから韓国、日本および台湾などに脱出」
問題は、このうちどのぐらいが日本に来るかだ。
韓国政府は日本への難民数を試算していないが、日本政府は「少なくとも10万人」と想定
していた。さらに、政府内部で「最大20万人を想定する必要がある」との指摘が出ていた。
かつての帰還事業(59~84年)で北朝鮮に渡った在日コリアンの帰国者や日本人配偶者ら
(計約9万3000人)と、その二世、三世らを中心に日本へ来ると想定しているからだ。(抜粋)
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