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★安倍政権 ちょっぴり安心した
安倍首相には、さぞかし緊張感に満ちた1週間だったろう。衆参両院での代表質問に続き、初めて
一問一答形式で野党と論戦を交わす衆院予算委員会が行われた。
(中略)
首相になった安倍氏が、政府の方針としてどんな主張を掲げるのか。政府の歴史認識や基本見解は
変更されるのか。多くの国民はそこを注視してきた。
だが、この1週間の安倍氏の答弁は、意外なまでのソフト路線に終始した。安倍氏の従来の主張に
期待した人々にとっては、拍子抜けだったかもしれない。不安を抱いた私たちは少し安心した。
アジア諸国への「植民地支配と侵略」を謝罪した村山首相談話や、従軍慰安婦問題で旧日本軍の
関与を認めた河野官房長官談話については、安倍政権でも「受け継ぐ」とはっきりさせた。
政府としての立場と首相個人の見解とは別と受け取れるような言い回しもあったが、「私も含めて」と
答え、そこのところを明確にしたのは前進だ。
安倍氏が尊敬する祖父の岸信介元首相を含め、戦争を指導する立場にあった人々に誤りや責任が
あったことも認めた。
まだ持論にこだわる場面もあったものの、これまでの日本政府の歴史認識は基本的に踏み外さない
という、安倍政権の慎重さはよく見えた。
ただ、中川昭一政調会長や、首相官邸のスタッフに議員グループ時代の同僚を登用し、教育改革
などに取り組む態勢を敷いている。どんな方向を打ち出すか、注目していきたい。
首相になるまでの政治経験が浅かった安倍氏にとって、この1週間は戦後政治の積み重ねを実感する
大変な学習期間だったに違いない。次は、中韓訪問という外交の初舞台が待ち受けている。
朝日新聞社説 2006年10月07日(土曜日)付
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