06/10/05 16:02:17 0
・憎いし、苦痛。安倍晋三首相が訴える「美しい国」を逆さまに読むと、こうなる。
東京都内の病院で働く女性(四〇)は、同じ母子家庭の友人に言われてハッとした。
美しさと苦痛という“光と〝をはらんだように聞こえる国づくり。「自分たちは切り捨て
られるのか」と、怖くなってきた。
ドメスティック・バイオレンス(DV)に悩み、四年間もの調停と裁判を経て医師の夫と離婚。
中学二年と小学四年の息子二人との暮らしを支え七年が過ぎた。年収が約八十万円
しかない時期もあり、簡易保険を解約してしのいだ。三人で川の字になって眠るとき、
ささやかだが幸せを感じた。
上の子が小四の時。「学級崩壊の原因をつくった」と先生が名指しした三人のうち、息子を
含む二人が母子家庭の子だった。「あの子たちの家は欠損家庭だから」と、先生が使った
という差別的な言葉を人づてに聞き、丸太で頭を殴られたような痛みを覚えた。安倍氏が
つくろうとする国に自分たちの居場所はあるのか。ため息が出た。
美しい国とは何か。安倍氏は首相就任会見でこう答えた。
「その姿の一つは、美しい自然や日本の文化や歴史、伝統を大切にする国。そうした要素の
中から培われた家族の価値というものを再認識していく必要がある」
自著「美しい国へ」では「同棲、離婚家庭、再婚家庭、シングルマザー、同性愛のカップル、
そして犬と暮らす人…どれも家族だ、と教科書は教える。そこでは、父と母がいて子どもが
いる、ごく普通の家族は、いろいろあるパターンのなかのひとつにすぎないのだ」と指摘。
多様な家族のあり方を認めながらも、「子どもたちにしっかりした家族のモデルを示すのは、
教育の使命」と訴える。
「離婚を考えて結婚する人なんていない」と、冒頭の女性。「安倍さんは排他的に勝ち組だけを
集めるみたいで、二者択一の世の中になるのが怖い。都合のいい部分だけに目を向ければ、
安倍さんにとっては美しいかもしれないけど…」(>>2-10につづく)