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2006年10月05日11時57分
「被告人は無罪」。裁判官が主文を読み上げると、傍聴席にいた入川松博さんの十数人の支援者から拍手と「わぁー」
という歓声が起こった。入川さんは裁判官に黙礼した。
入川さんが、子ども連れの女性とすれ違った歩道は、04年11月に誘拐、殺害された小1女児が通っていた小学校の
すぐ近く。子どもに不安を与えるような「声かけ」を禁じる条例が、05年6月30日に県議会で可決された翌日だった。弁護
人は「逮捕・起訴は警察、検察の過剰反応」と批判した。
「現場周辺の母親たちの警戒心は強い。単に子どもから目を離さないように言っただけなのに、誤解してしまったのかも」。
入川さんの妻の常美さん(56)はそう話す。
近くに住む主婦の平井順子さん(57)も「入川さんは、いたずらしている子がいれば注意するような人。事件の日も親切
心で声をかけたのでしょう」。
入川さんが逮捕された後、近くの住民ら十数人が無罪を求める署名運動を始め、2カ月間で約7000人分を集めた。入
川さんも「支援者のおかげで地域から孤立している気はしなかった」と言う。
入川さんは休職を余儀なくされた。今は貯金と息子たちからの仕送りで暮らしている。5人いる子どもたちのうち、一番下
の次男はまだ大学2年生。「卒業させるためにも早く仕事に戻りたい」と話した。
入川さんは警察の取り調べ段階でいったん容疑を認め、公判で否認に転じた。弁護人の古川雅朗弁護士は「被害者の
証言に沿う自白を促した冤罪の典型例」とみる。「子どもを犯罪の被害から守る条例」が可決された直後だったことも挙げ、
「起訴するような事案ではない。条例を意識したと思わざるを得ない」と非難。「検察は控訴すべきでない」とした。
「うっかり子どもに注意できない時代なんだな」。無罪でも入川さんの心は晴れない。
ソース URLリンク(www.asahi.com)