06/09/30 10:45:12 0
「あれあれっ」。助手席からの声に、あわてて正面を向く。前方左手の電柱が、一気に目の前に
迫ってくる。とっさにハンドルを右に切って、危うく衝突を免れた。30年以上も前の、一瞬の
脇見運転の記憶だが、思い返すたびに背筋が寒くなる。
埼玉県川口市で、市道を歩いていた保育園児たちが、乗用車に次々とはねられ、死傷させられた。
運転していた容疑者は、カセットテープを入れ替えようとして脇見運転したと供述したという。
日課の散歩の途中、突然命を奪われた園児や家族の悲しみは、計り知れない。大惨事に至った
原因を徹底的に調べてほしい。
現場は、日本の至る所で見かけるありふれた通りのようだ。ハンドルを握る以上、注意を怠って
はならないが、散漫に陥る可能性は残念ながらゼロではない。だからこうした道を今のままにして
おけば、悲惨な事故はまた起こり得る。
人と車との関係が、改めて問われていると思う。車が、あたかも道の主役であるかのように
振る舞い、人を道から追いやってきた車社会をどう考えるのかという問題だ。
人と車を、今より格段に分離してはどうか。例えば、歩道の無い道には車は進入させない。
逆に言えば、車の入る道には必ずガードレールや歩道を設ける。それでも事故の根絶は難しい
が、出来ることを積み重ねるほかはない。安全のためにかかる費用は、税金を使うだけではなく、
車を造り、売り、使う側も負担する。
犠牲を繰り返さないための手だてをどうとるのか。惨事は、車社会全体の責任をも問うている。
■ソース(朝日新聞)
URLリンク(www.asahi.com)