06/09/26 13:22:13 0
彼女は、20日、16歳の誕生日を迎えた。「おめでとう」と声を掛けても返事はない。
須賀川市立第一中の一年生だった2003年10月、柔道部の練習で二年生の男子に
投げられて頭を強く強打し急性硬膜化血腫を発症。意識不明の重体が続いている。
男子は、危険なプロレス技などをかけていたという。顧問の教論らは練習に立ち
会っていなかった。彼女と両親は、8月末、市と福島県、男子と母親に約60年分の
介護費用など約2億3000万円の損害賠償を求める訴えを福島地裁郡山支部に起こ
した。
「学校には良心のかけらもないのか」。両親が提訴に踏み切った最大の理由は、事
故後の学校の対応へのぬぐいがたい不信感だ。
学校は事故直後、両親に「休憩中に急に倒れた」と説明。全校生徒の保護者らへの
報告も約3ヶ月後と遅れた。校長は「けがの原因は分からない。練習方法や指導に問
題はない」と言い続けた。
学校が事故直後、市教委に提出した報告書には「部や学校の責任ではない」と母親
が話してもいない言葉が、母親の言葉として記載されていたことも後にに判明した。
父親が部員らから聞き取りしてようやく、事故の実態が分かった。学校側の姿勢は
両親の目に「事故隠し」「原因解明の放棄」と映った。
事故後、一時は命の危機さえあった。「神に祈るしかなかった」と言う父親。車いす用
のスロープや介護部屋の整備など、約一千万円をかけて自宅を改築した。在宅介護に
備えホームヘルパー二級の資格を取った母親は「気を抜く暇がない毎日でも、娘の
回復をあきらめていない」と言い切った。
ある日突然、子どもの未来が学校で奪われたのはなぜか。法廷は、両親の心に突き
刺さったままの問いに、答えを探す場になる。代理人の斉藤正俊弁護士(郡山市)は
「学校は安全であってほしいという多くの親の願いも含め、真相を明らかにしたい」と話す。
両親は、04年7月、練習に立ち会っていなかった当時の柔道部顧問と副顧問の教論
二人を業務上過失傷害容疑で須賀川署に告訴。同署は昨年9月、2人を書類送検した。
送検日は彼女の15歳の誕生日だった。
河北新報9/26朝刊(有志の方にスキャン・文字起こししていただきました)
URLリンク(loveloveweb.hp.infoseek.co.jp)