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昭和天皇が1975年を最後に靖国神社を参拝しなかった理由について、A級戦犯合祀(ごうし)に強い不快感を示し
「だから私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」と語っていたことが、故富田朝彦元宮内庁長官のメモに
よって明らかになった。昭和天皇の意向が信頼性の高い具体的史料によって裏付けられたのは初めてである。
小泉純一郎首相の靖国神社参拝をめぐって国内に賛否の大きな議論が渦巻き、この問題で中国、韓国との関係が
ぎくしゃくして首脳会談も開けない異常事態が続いている。新たな事実が明確になったことを踏まえ、靖国参拝問題
を冷静に議論し、この問題を他国の意向に振り回されるのではなく、日本人自身で解決するよい機会にしたい。
昭和天皇が靖国参拝を見送った経緯については、かねてA級戦犯合祀に不快感を抱いていたとの宮内庁関係者の
証言が伝えられていたが、靖国参拝擁護派はこうした見方を強く否定し、「三木武夫元首相が75年に私人の立場を
明確にして参拝したため、天皇が参拝しにくくなった」と主張していた。
今回の「富田メモ」によって昭和天皇の意向が明確になり、天皇が参拝しない理由を三木元首相のせいにした主張
の論拠はほぼ崩れ去ったと言ってよい。
昭和天皇がA級戦犯合祀に強い不快感を示したのは、過去の戦争への痛切な反省と世界平和への思い、米英両国や
中国など諸外国との信義を重んじる信念があったためと推察される。そうした昭和天皇の思いを日本人として大事に
したい。
A級戦犯が合祀された78年以降、昭和天皇は靖国参拝を見送ったが、戦没者に対する哀悼痛惜の念はいささかも
変わりはなかった。高齢にもかかわらず毎年8月15日の全国戦没者追悼式には必ず出席し、哀悼の念と平和への思い
をお言葉に託していた。(続く)