06/06/18 16:55:05 0
背中全体のツボの基準点となる「大椎(だいつい)」の位置が、国内では正しく示されていないと
する説を、全日本鍼灸(しんきゅう)学会の高田外司・石川地方会長・北陸支部長(高田針灸院長)が
十七日、金沢市での同学会学術大会で発表した。基準位置が違えば、一連のツボの位置が
ずれてしまうことになり、論議を呼びそうだ。
■古文献など研究で判明 写本で混乱、明治以降定着か
同学会によると、鍼灸は中国発祥で、二八〇年ごろにツボの位置を示す「鍼灸甲乙経」が
まとめられた。日本では九八〇年ごろ最古の医書「医心方」に登場し、高い医療とされた。現在も、
西洋医学の補完として注目されている。
現在、大椎は首の辺りにある「第一胸椎(きょうつい)棘(きょく)突起」の上とされ、そこから
「督(とく)脈」や「膀胱(ぼうこう)経」など重要なツボの場所が決められている。鍼灸を学ぶ教科書にも
記載され、日本、中国、韓国のツボの標準化に取り組む同学会委員会でも採用する。
しかし、高田院長らの古い文献や解剖学についての研究で、基準点が違っていたことが判明したという。
高田院長は「正しくは第七頸椎(けいつい)棘突起の上。ここを基準に全体を見直すと、ツボは、
動脈の流れたりする重要な場所にあり、働きとツボの名前なども一致した」とする。
混乱の背景には、ツボの位置が写本されて伝わり、写し間違いや解釈の違いなどもあったという。
明治以降の文献でも、大椎の位置について「第七頸椎上」と「第一胸椎上」の説が混在する。
高田院長は「明治以降、西洋医学の解剖図が入り、それに沿って教科書が書き換えられたが、
詳しい検討がなされないまま、第一胸椎の上を基準点とするやり方になったのではないか」と指摘した。
学会のシンポジウム座長を務めた明治鍼灸大学の尾崎昭弘名誉教授は「学会でも大椎の位置の
検討に取り組むべきだ。経穴(ツボ)のメカニズムに迫るため科学的な視点で研究する必要がある」と話す。
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