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共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案をめぐる与党の動きは、全く
迷走としかいいようがなかった。無定見でもあった。
共謀罪の適用範囲を絞り込んだ民主党の修正案を全面的に受け入れる
形での採決を提案したことだ。
今国会の会期末は十八日。会期延長なしの流れの中で、政府・与党が
重要法案と位置付ける教育基本法改正案などが軒並み継続審議となる
見通しだ。共謀罪もその一つだった。
だから焦りもあったのだろう。しかし、政府・与党が、さんざん批判して
きた民主党案を、今更丸のみするというのは何とも理解しかねた。これ
までの国会論議は何だったのか。
そう思っていたら、やはり「裏」があった。とりあえず今国会で成立させて
おいて、あとで都合よく改正すればいい、ということのようだった。
これでは民主党も、乗れるはずがなかった。採決を拒否したのは、
もっともな対応だ。急ぐ必要はない。(中略)
与党が継続審議の方針から一転し、決着を急ごうとした背景に、外交的
な事情を指摘する向きもある。
外務省によると主要国首脳会議(サミット)参加国ではドイツ、イタリアも
法整備を終え近く批准の見込みで、日本だけが未整備となっている。
日米首脳会談やサミットを控え、テロ対策が不十分との批判を恐れ、
とりあえず、中身よりも体面づくりを急いだのではないか。
民主党の修正案を丸のみすることで共謀罪創設に対する政府・与党
への批判をかわせる、との深謀遠慮も働いたのかもしれない。
この法案は国会への最初の提出からすでに約三年たっている。与党は
五月には一時、強行採決の構えをみせた。会期末が迫り、法案処理を
検討する中で、他の法案に比べて一番けりをつけやすい、との判断も
あったのだろう。
共謀罪は犯罪の実行行為を伴わなくても、話しあっただけで罪になり、
刑法の基本原則から逸脱しかねない問題をはらむ。それを、奇策とも
いえるような手を弄(ろう)してまで成立させようとした発想は、国民を
なめきったもので、あまりにお粗末だ。
ソース(北海道新聞・社説) URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)