06/04/25 20:27:02 xIstGgzI0
これも小池氏の名作
■《天声人語》 01月06日
年末から年始にかけて、風邪をひいてしまった。
年賀状にも手がつけられない、さえない毎日である。
いや風邪と断定していいかどうか。
これには「不審船と断定」と同じような問題がある。 ←←←
そもそもが風邪のようなものの集まりでしかない。
鼻水が出たりくしゃみが出たり、寒気がしたり熱が出たりいろいろで、
しかし、ほかの病気でないとされると風邪だろう、となる。
「某国船と断定」ならわかるが「不審船と断定」がちょっと変なように、風邪も断定は難しい。
とはいえ、風邪(のようなもの)については経験豊富だから、つきあい方は知っているつもりだ。
たいていは次の三つのうちのどれかで早めにお引き取りを願ってきた。
(1)丁重にお迎えする。できるだけ相手(風邪)を刺激しないように、静かに横になって退去を待つ。
(2)闘う。医者か薬局で薬を手に入れ、症状を抑え込む。
(3)気がつかないふりをする。「例によって一杯いきますか」などと独りごちながら、酒場に駆け込む。
杯を重ねるうちに病気だか何だかわからなくなる。
症状と都合で使い分けるが、今回は、まず悪寒に襲われたから(1)にしてみた。ただし一晩だけ。
それがだめで(2)に移行した。(3)は、時機を失した。
いまさら風邪を無視するのも白々しいし、たぶん、体力も許さない。
この病名は「竹取物語」や「源氏物語」にも出てくる。
昔から「風邪は百病の長」「風邪は万病の元」との言い伝えもある。
長いつきあいで、いまでも最も身近な病気だろう。しかし、いまもってなぞが多い。侮れない病である。