06/03/15 11:02:32 0
・東京の都立学校ではここ数年、ぎすぎすした息苦しい卒業式が続いている。国旗と国歌を
めぐって大勢の教職員が処分されてきたからだ。
私たちは社説で、処分してまで国旗や国歌を強制するのは行き過ぎだ、と繰り返し指摘してきた。
しかし、東京都教育委員会の姿勢は強硬になるばかりだ。
先週末、都立の定時制高校の卒業式で、卒業生大半が国歌斉唱で起立しなかった。
都教委は校長に新たな通達を出した。生徒への「適正な指導」を教職員に徹底するよう
求める内容だ。 生徒を1人残らず国旗に向かって立たせ、国歌を斉唱させる。
それが指導の中身だろう。 見逃せないのは、今回の指示が職務命令にあたる「通達」で
あることだ。都教委は2年前にも同じような指示をしているが、その時は「通知」だった。
いわば、これまでの「指導してください」が「指導せよ」に変わったわけだ。
都教委にとって、残るは生徒だけだ。しかし、ちょっと待ってもらいたい。
6年前の国旗・国歌法の国会審議で、政府は「児童や生徒の内心に立ち入って強制する
ものではない」と繰り返した。
「起立しない子どもがいたら、どう考えるか」と問われ、当時の文相はこう答弁した。
「ほかの人に迷惑をかけない格好で、自分の気持ちで歌わないということはあり得る。
他人を無理やり歌わせないとか、無理やり座らせるとか、こういうことはぴしっと指導すべきだ」
定時制高校の卒業生たちは、他の生徒の起立や斉唱を妨げたわけではあるまい。それでも
新たな通達を出した都教委は、生徒の内心の自由などをはなから考えていないとしか思えない。
昨年、ある都立高校の卒業式で、生徒たちが「これ以上、先生たちをいじめないでほしい」と
発言した。その高校では今年、保護者が要望した2階からのビデオ撮影を代表1人に限り、
録画テープを学校に預けさせた。学校は何を恐れているのだろうか。保護者がわが子の記録も
自由に撮れないとは、なんとも異常なことだ。
卒業式は最後の授業である。主役は生徒と先生だ。教育委員会の過剰な介入で、大切な
思い出を汚してはならない。 (一部略)
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