05/10/29 00:54:23 q7d8Buuq0
失業して再就職もままならず、プライドもずたずた、あるのはただ途方もないほどの長い時間だけだった頃があった。
そんな人に会うのもためらうような状態で、唯一、自己を主張できるのがネットの掲示板だった。
そこでは近所に出かけることも避けていた私でも天下国家を論じ、正義を高らかに主張することが出来た。
再就職も出来ない失業者である私でもネット上ではではなく憂国の士。いつしか、家族の声も無視して日がな一日パソコンの前に座っていた。
その時に書いた量は本にすれば何冊にもなっただろう。
ある時、ネットで紹介されていた政治の会合に出かけた。
期待を持って出席したのだが、そこにあったのは高尚なる理想ではなく、現実だけだった。どの出席者をみても、自己の状況を打開すら出来ずに現実逃避している人ばかり。
そんな人たちが政治を論じ、正義ずらしているのは、あまりに滑稽で惨め。私は彼らに自分の姿を見た。あまりにも情けない自分の姿を。
私は最後まで一言も声を発することもなく、会場を一人後にした。その時の夜の新宿のネオンと喧騒が暗く重く私の心に記憶として残っている。
カニ男の現実もネットウヨの存在も、私には傷口に塩をこすられるように痛い。