06/12/25 23:42:58 BE:279468173-2BP(1723)
教育基本法に「愛国心」が盛り込まれ、防衛庁が「省」になることも決まった日の夜だった。
「キミには愛国心がないね」
学校の先生にそうしかられて、落第する夢を見た。
いわく、首相の靖国神社参拝に反対し、中国や韓国に味方したな。
卒業式で国旗掲揚や国歌斉唱に従わなかった教職員の処分を「やりすぎ」だと言って、かばったではないか。
政府が応援するイラク戦争に反対し続け、自衛隊派遣にも異を唱えて隊員の動揺を誘うとは何事か。
自衛隊官舎に反戦ビラを配った者が75日間も勾留(こうりゅう)されたのだから、よからぬ記事を全国に配った
罪はもっと大きいぞ、とも言われた。「そんなばかな」と声を上げて目が覚めた。
月に一度のこのコラムを書いて3年半。41回目の今日でひとまず店じまいとしたいのだが、思えばこの間、社
説ともども、小泉前首相や安倍首相らに失礼を書き連ねた。夢でよかったが、世が世なら落第どころか逮捕も
されていただろう。
「戦争絶滅受合(うけあい)法案」というのを聞いたことがあるだろうか。
条文を要約すれば、戦争の開始から10時間以内に、国家の元首(君主か大統領かを問わない)、その親族、
首相や閣僚、国会議員らを「最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に
実戦に従わしむべし」というものだ。
いまならまずブッシュ大統領に読んでもらいたいが、長谷川如是閑(にょぜかん)がこの法案を雑誌『我等(われ
ら)』で書いたのは1929年のこと。第1次世界大戦からしばらくたち、再び世界がキナ臭くなり始めたころである。
デンマークの陸軍大将が起草して各国に配ったという触れ込みだったが、それはカムフラージュの作り話。「元首」
と「君主」は伏せ字にしてきわどく検閲をパスした。
それより11年前、日本のシベリア出兵や米騒動をめぐって寺内正毅内閣と激しく対決した大阪朝日新聞は、しば
しば「発売禁止」の処分を受けた。さらに政府糾弾の集会を報じたところ、記事にあった「白虹(はっこう)日を貫けり」
の表現が皇室の尊厳を冒すとして筆者らが起訴され、新聞は廃刊の瀬戸際に立たされた。ついに大阪朝日は村山
龍平社長らが辞職して謝罪し、政府に屈することになる。
これが「白虹事件」である。かつて「天声人語」の筆者でもあった如是閑は、このとき大阪朝日の社会部長だった。言
論の敗北に無念を抱きつつ退社して『我等』を創刊したのだ。
ソース:朝日新聞 風考計
URLリンク(www.asahi.com)
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