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【中日春秋】「戦争を知らない大人たち」が増え、為政者が「愛国心」を語る。
・「撃ちてしやまむ」。もとは古事記に出てくる言葉で、戦時下には将兵や国民を鼓舞する
標語となった
▼名古屋女子大名誉教授の青木みかさんの新刊『危ない!戦争がつくられる』(風媒社)。
「一庶民の反省と不安」とうたうように、「撃ちてしやまむ」の青春時代を振り返り、戦争への
道や悲劇を分かりやすく描く。女学校でも実弾射撃の訓練があり、銃の重圧感や射撃の
衝撃はいつまでも残ったそうだ
▼女学校を卒業後に結婚したが、船舶兵の夫は潜水艦の攻撃で船もろとも沈み、二十歳で
一人に。夫は朝夕、『歎異抄』の「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」をつぶやき
『葉隠』も身につけていた。そんな夫の戦争への諦観(ていかん)や葛藤(かっとう)を思うと、
今もいたたまれなくなるという。広島で被爆した弟の手記もつらい
▼<永劫にかかる凄惨の戦ひを禁じて誓ふ平和憲法>。自民党衆院議員を長く務めて、
一昨年に亡くなった山中貞則氏の歌だ。太平洋の戦跡を巡って編んだ歌集の中の一首で、
青木さんは本の冒頭で紹介しながら、平和憲法の意義を強く訴える
▼今月で公布六十年の平和憲法。かつては多くの政治家が戦争体験も踏まえて大切に
したが、今は改憲の風が吹く。「戦争を知らない大人たち」が増え、為政者が「愛国心」を語る。
その動きを見つめるうちに青木さんは戦争に突入したころの記録を残したい思いにかられたという
▼時代への不安を感じる一方、平和に向かう普通の若者の底力を信じたいと。彼らも
また、このような本で一層平和の道を考えることだろう。