06/11/22 23:35:44
洗脳教育というのは本当に恐ろしいもので、ありとあらゆるウソが集まって一つの完璧な世界観を形成してしまうと、
ウソと知りながらウソをついていた人間までも本当のことのように錯覚し始めるほどだ。真面目で純粋な子供だった
私も、見事なまでに洗脳され、毛沢東を崇拝していた。
その洗脳が解けたのは、北京大学に進学してからである。当時は文化大革命の迫害を受けた党幹部や知識人の間で、
毛沢東政治の暴露と批判を行う運動が盛り上がっていた時代である。大学にも文革犠牲者の親族を持つ学生が多数いた。
最初は彼らの話を疑い、殴り合いのケンカまでしたが、あまりの多くの証拠を突きつけられ、毛沢東は自らの権力を
守るためには虐殺も厭わない権力の亡者であることを認めざるを得なくなった。
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運命の89年6月4日。私は日本にいて難を逃れたが、一緒に民主化活動を指揮した何人かの仲間が天安門で命を落とした。
私は祖国に絶望し、打ちひしがれた。
天安門事件は共産党にとっても史上最大の危機だったと言える。この事件を境に、共産党は方針転換を図った。
つまり、かつては西欧資本主義を邪悪な暗黒世界とし、理想の共産主義国家を建設するのが共産党だと位置づけて
いたのが、日本という暗黒国家が再び中国への侵略を企てており、その侵略から祖国を守るのが共産党であると、
対立の構図を変え、民族主義、愛国主義の教育を始めたのである。
要するに、共産党がやっていることは私の子供の頃とまったく同じなのだ。
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▼戦争を知らない世代ばかりが共産党を妄信している
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最近、新華社通信が中国人を対象にサイト上で行ったアンケートでは、「あなたがもっとも信じる理想・理念はどれか」
という問いに対して、「民主主義」と答えた人は1%に過ぎず、「民族至上主義」と答えた人が96%にのぼった。
そのほとんどが、外国と利益が衝突したらあらゆる手段を用いて中国の利益を守るべきと答えている。
もはや中国の若者たちは民主主義という思想にまったく魅力を感じていない。共産党独裁が決していいとは言わないが、
邪悪な日本の侵略から民族を守るには、共産党の指導が必要だとする。
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しかし、私が毛沢東崇拝の洗脳から解けたように、ウソはいつか必ず暴かれ、洗脳は解ける。私はそう信じている
ソース:SAPIO 12月13日号 PP103-105 記者が誌面からテキスト化。