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・安倍政権の幼稚さと危うさ
一方で浅井氏は、日本側による謝罪と償いが明記された平壌宣言の意義を評価しつつ、宣言における
優先順位を覆し、拉致問題、核問題を利用して「北朝鮮脅威論」を演出する安倍政権の対朝鮮半島
政策の「幼稚さと危うさ」についても言及した。
ミサイル発射訓練や核実験に際しての安保理制裁決議への執着に代表される、大局的、戦略的判断
の欠如という「幼稚さ」と、対朝鮮強硬策一本やりの姿勢が東アジアの核惨禍という最悪の結果を招き
うることへの想像力の欠如という「危うさ」に警鐘を鳴らした。
「『朝・日平壌宣言』4年と朝・日関係の今後」というタイトルで講演を行った金明守参事も、日本における
拉致問題の極大化、「北の体制転換」まで求める「救う会」などの右派勢力、米日一体の対朝鮮強硬策
などを、朝・日国交正常化にブレーキをかける主要因として指摘した。
金参事は宣言発表後4年間を振り返りながら、日本の過去清算を関係正常化の大前提とし大局的立場
に立つ朝鮮側と対照的に、平壌宣言をとりあえず「有効」としながらもたび重なる「北朝鮮制裁」によって
自ら対話の道を閉ざした日本側の立場の違いを際立たせた。
また、在日朝鮮人に対するテロ行為が頻発している日本国内の状況に憂慮を示しながら、これらの犯罪
は民族的な憎悪に根ざす「ヘイトクライム」であると述べた。
130年にわたり朝・日間の非正常な関係が続くなか、歴史的な射程の中で両国の関係正常化を考え
両国間の「悪循環」を絶つ必要性も強調した。
講演終了後には、客席との質疑応答が行われた。聴衆からは、「日本は本質的には何も変わっていないの
ではないか」といった声が上がり、日本の歴史認識、民衆レベルでの責任などについての問題提起がなされた。
質問に答えた浅井氏は、日本は歴史認識、国際観、他者観といった根源的な意識のあり方において、
戦後60年間何も学ばずにきたため、日本を世界の中心に置く「天動説的国際観」がはびこっていると
分析した。
メディアも巻き込んでの一大「北朝鮮バッシング」が何ら躊躇もなく行われている状況についても、日本に
おける他者感覚の欠如が表れたものだと述べた。(李相英記者)