06/11/22 17:38:13
・肥大化する「北朝鮮脅威論」に警鐘
在日本朝鮮社会科学者協会(社協)主催の特別講演会、「朝鮮半島情勢と朝・日関係の今後」が
18日、朝鮮出版会館(東京都文京区)で行われた。講演会は、同協会の2006年度学術報告会
の第1部として企画されたもの。広島市立大学広島平和研究所の浅井基文所長と、金明守・総聯
中央本部参事が講演を行った。朝鮮半島情勢が緊張する中で開かれたとあって、講演会には
社協会員と総聯の活動家に加え、同胞、学生、日本市民ら100人を超す人々が訪れ、関心の
高さをうかがわせた。
・先制攻撃狙う米国
「朝鮮半島情勢の変化と安倍政権」というテーマで講演した浅井所長は、朝鮮半島問題に関する
関係各国のアプローチを軸に、現情勢を概説した。
浅井氏は、米国の基本姿勢には「ならず者国家」「圧制国家」の朝鮮において「レジームチェンジ
(体制転換)」を実現させたいという思惑があるとし、「先制攻撃戦略」や「朝米間の合意の覆し」に、
その意図が表れていると指摘した。
「恐怖という目に見えない脅威」「新しい捉えどころのない敵」という概念で、21世紀における新たな
敵を作り出した米国。この概念は、「おばけをもって敵とする」と言うことに等しく、米国の認識は奇妙
きわまりないものだと述べた。
そして、「朝鮮は能力を持ったとしても米、日に対して攻撃する意志を持つことはありえない。米国
の脅威は実態とかけ離れたものだ」とし、「北朝鮮脅威論」を一蹴した。
また、米国が伝統的な「自衛権」概念からの逸脱を加速化させていることについても指摘、自衛権の
無限拡大を正当化するブッシュ政権の論理は国際法上認められないと非難し、米国の先制攻撃
戦略が、朝鮮が警戒感を高めざるをえない最大の理由だと強調した。
一方で、米国の先制攻撃を抑止し、国家の存続を確保する手段と位置付けている朝鮮の核開発を、
日本がどのように認識するかという問題にも言及した。
朝鮮を含めた全ての国の核実験、核武装を容認できないとしながらも、「なぜ朝鮮が核実験に踏み出さ
ざるをえなくなったのかという視点が欠落した批判はあたらない」と指摘した。朝鮮には、朝鮮戦争以来
米国から核の恫喝を受けてきた歴史的背景があり、朝鮮を核実験、核保有に追い込んだ米国の政策
について本質的な告発をしなければ、被爆国日本の訴えは一貫したものにならないと述べた。
6者会談については、非核化を通じて朝鮮半島の平和と安定を達成することに目的があるとし、問題の
非軍事的解決の枠組みや関係国間の信頼醸成メカニズムへの発展の可能性をその意義として挙げた。
さらには、非核化への大前提である朝米対話、朝米国交正常化の重要性を強調、クリントン政権時代
を引き合いに出しながら、朝米対話は決して不可能ではないと述べた。(>>2以降に続く)
ソース:朝鮮新報
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