06/11/02 12:38:00
上海郊外の有利な立地を売り物に外資企業を中心に誘致した上海嘉定工業区で、入居したばかりの上
海ハウス食品など日本企業10社が都市計画を理由に立ち退きを非公式に通告されていることがわかった。
今回は第1期分で今後さらに多くの日本企業が立ち退かされる可能性があり、外務省は在上海日本総領事
館を通じ同市嘉定区政府に説明を求めた。上海進出を考えている企業の間でチャイナ・リスク論議が再燃す
る恐れもある。
立ち退き通告文書は「上海市嘉定新城(街)建設管理委員会弁公室」の第10号文書(10月17日付)で、
「都市計画の実現のため第1期分の立ち退き企業は次の通り」として24社が記され、その中にハウス食品
▽野尻光学▽神鋼圧縮機製造-など日本企業10社が含まれていた。
この文書は全企業に突然配布されており、台湾系企業などが立ち退きに応じる動きを見せる中で日本企
業側では「このままでは操業を停止せざるを得ない」と、総領事館や日本貿易振興会を交え説明を上海市
側に求めるなど対応を急いでいる。
上海市西北部にある嘉定工業区は1994年ごろから外資誘致を目的に造成が始まった大型プロジェクト
だったが、インフラ整備が遅れたことなどもあり進出企業はなかなか見つからなかった。外資の進出が本格
化したのは中国沿岸部の経済発展が広がりを見せた2002年になってからで、同工業区への日本企業の
進出は04年末に集中している。
ところが日本企業関係者らによると、この工業区を含めた上海市都市改造計画が02年ごろから立案段階
に入り、04年にいまの都市部と9つの衛星都市(100万都市)群という大まかな計画(1966計画)が決まっ
たという。嘉定工業区はその衛星都市構想の一つ「嘉定新城建設」に含まれ、日本企業が多く入居する南地
区は商業区に指定されていたため今回立ち退きを要請されることになった。
日本企業側は(1)企業誘致と都市計画作成が重なるのに説明がなかったのは不誠実(2)補償が行われ
ても操業停止という非常事態に追い込まれる-などの点を追及して立ち退き撤回を求める。
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