06/10/22 10:08:48
サハリン1の天然ガス、日本の輸入調達に暗雲
ロシア・サハリン北部沖で、日本政府・企業がかかわる石油・天然ガス開発事業「サハリン1」について、
運営主体の石油メジャー、米エクソンモービルが中国との間で、産出ガスを中国に供給する契約に向
けた覚書を今月中旬にかわしたことがわかった。エクソンはガスの販売先候補として日本、中国と交渉
してきたが、中国に有利な情勢となった。中国はパイプラインによる輸入を検討中で、正式契約に至る
と日本への供給が難しくなる。
サハリン1は70年代に計画され、日本勢も国策の一環として参加してきた資源事業で、日本は産出原
油の輸入を今月から始める予定だ。天然ガスについては、年間輸入量の約1割にあたる年600万トン
をここから調達する計画なので、イラン・アザデガン油田に対する権益の大幅縮小に続き、日本の資源
確保政策に新たな暗雲がたちこめた。
サハリン1は日、米、インド、ロシアの5社による共同事業体が開発し、エクソンの子会社が契約交渉など
運営主導権を握る。関係者によると、エクソン側は中国の石油大手・中国石油天然ガス(CNPC)と契約
の前段となる覚書を結んだという。
内容は明らかでないが、秘密保持契約など本格交渉を始めるための合意とみられる。日本政府側は「日
本の需要家との交渉の道もまだ残っている」とするが、事業を早く進めたい参加民間企業からは「中国に
よる全量輸入も有力な選択肢の一つ」との声も出ている。
日本は当初、政府主導で本州まで海底パイプラインを敷いてガスを輸入する計画で、丸紅、伊藤忠商事、
石油資源開発なども参加して95年にサハリン石油ガス開発(SODECO)を設立した。
同社がサハリン1事業の権益3割を持ち、パイプライン構想の具体化を進めた。だが、買い手の電力、ガ
ス業界はこれまで推進してきた液化天然ガス(LNG)での輸入を希望。パイプラインで進めたいエクソン
など開発側と、日本の買い手側の溝が埋まらず、交渉が難航していた。このため、エクソン首脳が04年、
当時の中川昭一経済産業相に、日本以外の中国などにも販売先を求める方針を伝えていた。
サハリン1からのガス輸入予定分が中国に流れると、日本の電力・ガス業界は他地域からの調達で対応
するが、政府主導の開発事業の意義は問われることになる。
ソース:朝日新聞
URLリンク(www.asahi.com)