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■[『慰安婦』決議案]「日本政府はきちんと反論せよ」
こんな問題の多い決議案を放置すれば、日米関係に禍根が残る。日本政府はきちんと反論すべきである。
米下院の国際関係委員会が、いわゆる従軍慰安婦問題で日本非難決議案を議決した。
決議案は、「20万人もの女性が性奴隷にされた」「家から拉致され……性的な強制労働につかされた」などと、
裏付けのない記述が数多く含まれている。
慰安婦問題は1990年代初頭、一部全国紙が、戦時勤労動員制度の「女子挺身(ていしん)隊」を“慰安婦狩り”
だったと、歴史を捏造(ねつぞう)して報道したことから、日韓間の外交問題に発展した。
当時、「慰安婦狩りに従事した」と名乗り出た日本人もいて、これも「強制連行」の根拠とされた。だが、この証言
は作り話だった。90年代半ばには、学術レベルでは「強制連行」はなかったことで決着がついた問題だ。
にもかかわらず、96年の国連人権小委員会報告書や今回の決議案のように、事実誤認や悪意に満ちた日本
批判が繰り返されるのは、日本政府が毅然(きぜん)と反論してこなかったためである。
米下院委員会で議決されたのは初めてだ。外務省は何をしていたのか。本会議上程阻止が最優先だが、二度と
失態を繰り返さぬようにすべきだ。
決議案には、「慰安婦の悲劇は20世紀で最大の人身売買」など、歴史認識へのバランス感覚を欠いた表現も
目立つ。
第2次大戦中、ドイツは占領地域で組織的な“女性狩り”をしていた。にもかかわらず、米議会がこれを一度も問題
にしていないのは、なぜか。
占領下の日本には、占領軍将兵専用の慰安婦施設があった。もとは占領軍将兵の性暴力を恐れた日本側の主導
でできたものだが、占領軍の命令で設置された施設もあった。決議案に賛成した議員たちは、こうした事例も精査した
のか。
慰安婦問題が混乱する原因は、93年の河野洋平官房長官談話にある。
河野談話は、確かな1次資料もないまま、官憲による慰安婦の「強制連行」を認めたかのような叙述を含む内容に
なっている。以後、「日本が強制連行を認めた」と喧伝(けんでん)される材料に利用された。
河野談話について、安倍首相は国会答弁で、継承する意向を表明した。同時に、「狭義の意味での強制性は事実を
裏付けるものはない」とも指摘した。
狭義の強制性、つまり、官憲による「強制連行」がなかったことは確かではないか。首相はこう言いたいのだろう。
事実誤認や歴史の“捏造”まで、「継承」する必要がないのは当然である。
ソース:(2006年10月16日1時39分 読売新聞)
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