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10月15日付・読売社説(1)
[『北』制裁]「日本の安全を損ねる憲法解釈」
北朝鮮の核武装という事態に直面して、日本の安全を守る上で、憲法解釈が障害になっているのではないか。
安倍首相が言うように、最も深刻な脅威にさらされているのは日本だ。国連安全保障理事会が、船舶検査も含む
制裁決議をすれば、日本としても最善を尽くすのは当然だ。シーファー駐日米大使に言われるまでもなく「意味ある
貢献」をしなければならない。
それには、やはり、「持っているが、行使できない」とされる集団的自衛権の解釈を変えねばなるまい。武器使用の
基準も全面的に見直す必要がある。
船舶検査が実施されれば、その主体は米軍だろう。政府は、周辺事態法の発動による給油など米軍への後方支援や、
船舶検査法に基づく周辺事態に際しての船舶検査などを検討している、という。
だが、例えば、船舶検査の際に、相手の船舶に米艦船が攻撃された場合、仮に海上自衛隊の艦船がすぐ近くにいても、
何もできない。海自艦船が米艦船を守るために相手船舶を攻撃すれば、集団的自衛権の行使と見なされるからだ。
こんなことが起きれば、日米同盟の信頼性は一気に崩れてしまう。日本の平和と安全を守れるはずもない。
しかも、周辺事態法は、米国への後方支援を定めた法律で、現状では、米国以外の艦船には、海自による給油などの
支援はできない。無論、相手船舶の攻撃があっても、助けることはできない。
安倍首相は、国会などで「いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に当たるのか、個別具体的な
事例に即して研究する」と繰り返し言明している。同盟の信頼性を高めるために、当然、必要なことだ。
だが、今、国際社会が北朝鮮への制裁に踏み切ろうとし、日米が共同で対処しなければならない局面が現実になろう
としている時だ。「研究」などと、悠長に構えている場合ではあるまい。
船舶検査法に基づいて船舶検査を実施しても、実効性には疑問がある。停船させるための警告射撃も、拿捕(だほ)も
できず、強制力がないからだ。相手船舶が停船せず、乗船しての検査や航路の変更に応じなければ、単に追尾するしか
ない。
これでは、日本が船舶検査に参加しても、他国の足手まといになるだけだ。
警告射撃もできないのは、憲法が禁じる武力による威嚇や武力行使に当たるとの理由からだ。国際常識から外れた
考え方だ。武器使用の問題として、適切な使用基準を考えるべきではないか。
現実にそぐわない憲法解釈に固執すべきではない。
ソース:(2006年10月15日2時17分 読売新聞)
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
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