06/09/19 00:32:40
■［デスクコラム］ 三人の指導者
日本と中国から伝えられるニュースに、複雑な気持ちと羨ましさが交錯する。ニュースの一つは、退任
する日本の小泉純一郎首相の高い人気、もう一つは、人民と共にあろうとする中国の温家宝首相の特
別な努力だ。これらのニュースを聞いて複雑な気持ちになるのは、最近我が国との関係が悪化している
隣国の首相だからであり、羨ましいというのは、我が国の境遇とオーバーラップするからだ。
20日に自民党総裁職を退く小泉首相の退任成績表は華麗だ。内閣支持率は50％を超え、彼自身は歴
代２位の名宰相に数えられた。靖国参拝のため「無礼な総理」というタイトルのパロディーにされるほど
我が国では反感を買っているが、日本では様子は全く違う。日本国民の64％が小泉政権５年間の成果
を高く評価している。政治的信念だった郵政民営化を果たし、長期不況からの脱出にも成功したからだ。
再浮上する日本経済が、彼の成果だ。
５年前に小泉が首相に就任した当時、日本はＧＤＰ成長率がマイナス0.8％という不況に喘いでいたが、
昨年は1.7％のプラス成長を遂げた。10年にわたるデフレも終焉を告げた。失業率はもちろん、企業倒産
件数や不良債権比率など経済各分野があまねく改善した。先月のＧ８首脳会談では自らを「沈む夕陽」
に喩えて退任を惜しんだが、国民は彼との別離を悲しんでいる。
目を中国の温家宝首相に転ずれば、感動的きわまりない。今月５日、ヨーロッパ歴訪を前に行なわれた
ヨーロッパのメディア５社とのインタビューの内容は、人民と共にある指導者の姿そのものだった。外信の
記者らから「どんな問題でたびたび眠れないか」という質問を受けると、温首相は返事の代わりに昔の詩
を吟じたという。
「長太息以掩涕兮 哀民生之多艱」（「大きく嘆息して人知れず泣く。苦労する民生が可哀そうだ…」：
楚国の忠臣であると同時に詩人であった屈原の「離騒」の一節）、「衙齋臥聴蕭蕭竹 疑是民間疾苦声」
（「官邸に臥して竹音を聞くと、民の苦しむ声ではあるまいかと思う」：清代の画家・詩人であった鄭板橋
の言葉）。 事前に質問内容を知らされて準備した答えではあるが、次々と詩の文句を吟ずる彼の心情が
胸に迫った、というのがインタビューに参加した外信記者の評価だ。
温首相は、10年着たジャンパーを着て数年履いた運動靴一足で地方を視察することでも有名だ。意図的
な行動であるかもしれないが、中国人たちは自分たちと共にあろうとする首相だと認識する。「平民総理」
というニックネームもそこから生じた。それでも中国経済が困難なわけでもない。むしろ過熱が心配される
ほどの高成長だ。今年上半期の成長率は10.9％にのぼる。７月には輸出が史上初めて米国を抜いた。
これを見た後で目を国内に向けると、我が国の境遇が悲しくなる。我が国の状況は正反対だからだ。歴
代のどの政権よりも庶民を優先視する、という改革の旗印を掲げて派手に船出したが、３年半を経た今、
支持率は最低だ。庶民の暮らしは相変らず苦しく、これまで数限りなく出てきた改革の成果も見窄らしい
ばかりだ。
経済問題を話すたびに指摘される両極化問題は一層深刻化し、この政権が掲げた最大課題である不動
産問題も空回りするばかりだ。
財政経済部は17日、「2005年経済白書」を通じて、2003年以後の景気不振の影響が加わって低所得層
の困難は重くなり、中産階層が減って低所得層が増加した、と分析した。財政経済部が指摘した2003年
とは、まさにこの政権が発足した年だ。
家賃安定と不動産投機抑制のために税金を大幅に上げたが、家賃は高くなる一方のうえ不動産価格も
高騰している。板橋(ﾊﾟﾝｷﾞｮ)に続いて恩坪(ｳﾝﾋﾟｮﾝ)ニュータウンに至るまで､高い分譲価格のため一般庶
民はマイホーム入手の意欲さえ出ない状況だ。庶民のための政策が庶民を泣かせるという悪循環が繰り
返されている。こうした繰り返しは、ただでさえ低い支持率を一層悪化させるばかりだ。
韓・中・日３ヵ国の指導者の異なる境遇を比べるのは皮肉としか言いようがないが、これを乗り越えること
ができる時間も、もはや１年ほどしか残されていない。 【李ヨンテク証券部長】
▽ソース：ソウル経済新聞（韓国語）（2006/09/18 16:46）
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