06/09/11 19:15:02
【噴水台】天下
チャン・イーモウ監督の映画『英雄』が発表された2002年。中国当局が異例的に興行支援に立ち上がった。
不法DVDの制作を阻止し、試写会には党指導部が大挙参加して反対勢力を捕らえた。どういうわけなのか。
『英雄』は秦始皇と刺客を描いた。刺客は秦始皇殺害が可能な10歩前まで近づいたが、巨事をあきらめる。
「天下」の安定をために心を砕く秦始皇に感服したのだ。映画の中の天下大義などは漢族を熱狂させた。
西周は天を最高の神として仕えた。天の意が天命で、天命を地上で実現する人が天子だ。
天子が統治する所が天下だといえる。しかし西周の人は天子の統治力が及ばない領域も天下に含めた。
すべての地と人を天子が治めなければならないと思った。覇権的思考だ。
天下は中国中心の世界秩序を意味するようになった。
天下が解体されたのは清の末期だ。清はアヘン戦争で東アジア中心としての力を失った。
清と冊封-朝貢関係にあった国のうちでまず琉球が1879年に離脱し、日本の沖縄となった。
ベトナムとラオス、ミャンマーも離れた。続いて朝鮮が1897年、国号を大韓として王が皇帝を自称し、
天下解体が完了した。
1949年、大陸を席巻した中国共産党はアイデンティティの問題にぶつかった。
56の民族をどうやってひとつにしようか。苦心の末に「中華民族」という新しい民族を作り出した。
中華民族は56民族の単純な総合ではなく、漢族と異民族が相互作用して融合した「複合民族」だと強弁する。
満州族など各民族を中華民族の下位概念に入れ「中国=統一的多民族国家」という等式を成立させた。
統一的多民族国家論は
「現在の中国領土の中で歴史的に活動したすべての民族は中華民族であり、
これらの歴史的活動や王朝もすべて中国史の範疇に属する」
という主張をくり広げる。
高句麗史を中国史に変身させる論理だ。
東北工程などあらゆる工程はすべて統一的多民族国家論を正当化するためのものだ。
これは空の下のすべての民と地は天子の物だという天下思想の回復を連想させる。
統一的多民族国家論が天下思想の現代的変形という言葉はこうして出てくるのだ。
中国がこうした本音を表しはじめたのは、中国の力が強まった近年に入ってからだ。
中国との「歴史戦争」で勝つためには我々が強くならなければならない。歴史は強者が記すものではないか。
2006.09.10 18:58:00
ソース:中央日報
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