【イザッ!/コラム】上海 「理想郷」汚す近代化 危機状態にある水、空気、食品などの汚染についてもう少し深刻に考えた方がよい[09/05]at NEWS4PLUS
【イザッ!/コラム】上海 「理想郷」汚す近代化 危機状態にある水、空気、食品などの汚染についてもう少し深刻に考えた方がよい[09/05] - 暇つぶし2ch1:彼岸花φ ★
06/09/05 06:52:39

 アメリカ大統領が週末を過ごすワシントン郊外の専用別荘「キャンプ・デービッド」はかつて
「シャングリ・ラ」と呼ばれた。第二次大戦中、避難場所を兼ねる別荘を造ったフランクリン・
ルーズベルト大統領が小説「失われた地平線」(ジェームズ・ヒルトン著)に出てくる理想郷の
名前をつけたのが由来だ。
 ちなみに「キャンプ・デービッド」というのは、戦後の大統領であるアイゼンハワーの孫の
名前からきているが、ニューヨーク郊外の英国風邸宅で子供時代を過ごしたルーズベルトは
農本主義的な面があり、産業革命以降の急速な近代化に背を向ける意味で「シャングリ・ラ」と
命名したようなところがある。
 その「シャングリ・ラ」をそのまま町名にした街があった。チベットと隣接する中国雲南省迪慶州
チベット族自治州の州都、中甸だ。2002年5月、北京の中央政府ともども州政府は数々の
調査の結果、どうみても「(小説上の架空の街は)中甸以外にありえない」として改名を発表した
からだ。
 実はその理想郷に対し上海市は2年前から経済援助をしている。中国は1992年以来、
改革開放路線を本格化させ、その結果、「先にもうける」ことになった上海など海岸都市は
高層ビルで埋め尽くされたのに対し雲南など内陸部は自然そのままに取り残された。いわゆる
「上海はニューヨークだが、残りはアフリカ」(米外交官)という史上まれに見る異様な格差が
生まれたわけだ。
 この格差是正を目指す中央政府は96年、「金持ちの街が直接、近代化を援助すべきだ」
という指示を出し、上海市には雲南省が振り分けられ、「シャングリ・ラ」には近代化費用として
年間4億円程度が支払われている。
 その問題の「シャングリ・ラ」を訪ねる機会を得た。海抜3000メートルを超す高原の街は実に
緑豊富な温和な盆地で、6000メートルを超すヒマラヤの山々が目前に迫る雄大な景観は
圧倒的だ。現代文明に疲れた心身を癒すという意味では、確かに理想郷と呼ぶにふさわしい
大自然を実感することができた。
 ヒルトンの小説は第1次大戦後の31年という危機の時代を背景にしている。主人公の
英外交官は「熱に浮かれたように地球上をかけずり回る」毎日に疲れ、西欧文明にも疑問を
抱いている。その意味でヒルトンが描いた「シャングリ・ラ」は、西欧文明へのアンチテーゼとして
の大自然であり、ルーズベルトらの共感を得たのだろう。
 だが、皮肉なことにその名を冠した街は人間による汚染に悩まされていた。今年5月、
シャングリ・ラの湖の一つ「碧沽湖」が中国の映画撮影隊によってゴミだらけにされ大問題に
なったが、私たちが訪ねた神秘的な湖「碧塔海」でも観光客たちは湿地に入り込み平気でゴミを
投げ捨てている。この地域一帯が世界遺産にもかかわらず、排ガス規制のないトラックが走り、
巨大ダムの建設計画さえあるという。
 中国での理想郷といえば陶淵明が描いた「桃源郷」が原点だろう。桃がたわわに実る豊かな
土地がそのイメージだ。自然へのあこがれという意味では「シャングリ・ラ」と類似する。
 だが、中国の改革開放が西欧型近代化を地方に押し広げようとしているのならば、沿岸部で
すでに危機状態にある水、空気、食品などの汚染についてもう少し深刻に考えた方がよいような
気がする。

ソース:イザッ!
URLリンク(www.iza.ne.jp)


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