06/08/29 12:28:08
検証小泉政権(下) 米追従外交の重いツケ
小泉純一郎首相の外交観をこれほど端的に表した言葉もないだろう。
「日本と米国の関係が良ければ良いほど、中国や韓国をはじめ世界各国と良好な関係
を築くことができる」
昨年十一月、京都でブッシュ米大統領と首脳会談を行った後の共同記者会見で首相が
口にしたせりふである。ブッシュ大統領は深くうなずきながら「日米関係は死活的に大事
だ」と呼応した。
五年余の小泉政権の外交は、ひたすら対米関係優先であった。日米同盟を強化し、
深化する道を突き進んだ。その結果として、いまの日米関係は「史上最良の状態にある」
とまでいわれる。
だが対米重視に偏るあまり、小泉外交は単線外交に陥り、柔軟性や幅の広さを欠いた
面が否めない。そのために行き詰まり、ツケを残すはめになった。
小泉政権下で極度に険悪化した中国や韓国との関係が、そのことを雄弁に物語る。
両国とは首脳同士で話し合うこともできない異常な状態が続いている。
「日米関係さえ良ければ中韓とも良好な関係が築ける」という首相の言葉とは遠く懸け
離れた現実が、私たちの眼前にある。小泉外交とは何だったのか、あらためてそう問わ
ずにはいられない。
蜜月関係と同盟変質と
小泉政権が誕生して五カ月後の二〇〇一年九月十一日、米国の政治、経済の中枢部
が同時多発テロに襲われた。ブッシュ政権は「テロとの戦い」を世界に宣言し、そのこと
が小泉首相をさらに日米同盟強化路線へと駆り立てた。
アフガニスタン戦争で日本はインド洋に多国籍軍支援の給油艦を派遣した。続くイラク
戦争では、小泉首相はいち早く米国への支持を表明し、戦地同然の他国領土に自衛隊
まで送り込んだ。
米国に付き従うことが日本の国益と首相は判断したのかもしれない。北朝鮮の核・ミサ
イル問題、発展目覚ましい中国の存在も念頭にあったのだろう。
米国が主導したイラク戦争にはもともと正当性に疑義があり、国際社会からは米国の
単独行動主義への批判が渦巻いていた。復興支援とはいえイラクへの自衛隊派遣は、
平和憲法の歴史に消し難い汚点を残したと言わざるを得ない。
ソース:新潟日報
URLリンク(www.niigata-nippo.co.jp)
>>2-5あたりに続く