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■首の皮一枚、粘った経済
あなたの嫌いな国はどこですか?。
一位中国四三・七%
二位韓国二八・七%
今年二十歳になる大学生千人に聞いてみた。十五年後におそらく会社の中堅社員として、
学校の先生として、あるいは何人かはスター経営者として世に出る卵たち。そんな彼らの
多くに隣人の中国、韓国が「嫌い」としか映らない。ちなみに中国を「好き」と答えたのは
九・四%だけだ。
「今の日本は百年前と似ている」と作家の黒岩比佐子(47)は指摘する。日露戦争は実は
薄氷の勝利だったにもかかわらず、勝利に陶酔して自らを「一等国」と言い始め、国内では
ナショナリズムが台頭。その後に大きな敗戦が待っていた。
九〇年代の経済危機から現在の回復の内実について、総務相の竹中平蔵(54)は「資産
価値低下を国内貯蓄が救うギリギリのバランスシート調整だった」と総括する。首の皮一
枚でやっと復活した現実から目をそらして「バブルに似た雰囲気」(日本経団連会長の奥田
碩、73)に酔うと、手痛いしっぺ返しを食らいかねない。
雨雲が現れた途端に悲観主義が支配し、晴れ間が広がると過剰な楽観主義がまん延する
「日本病」。いま振り子は悲観から楽観へ振れ始めたかに見える。だが座して配当を受け取
ることができる時代は終わった。
大学生の話に戻ろう。嫌中・嫌韓感情の広がる彼らの七九・一%が「日本は国際社会で尊
敬される努力をすべきだ」と答えた。外交評論家の岡本行夫(60)は「あと十五年で中国指
導部はイデオロギー志向が薄い世代に交代する。日本はこれを追い風にしなければならな
い」と指摘する。負のエネルギーはプラスに転換できる素材でもある。
バブル崩壊後の十五年という時間の経過で再び確認できた日本の底力がある。新たに身
に付けた力がある。そして失われた力がある。自己を相対化し、冷静に立ち位置を点検する
ところから次の十五年が見えてくる。長い苦闘から反転した日本には、世界でも通用する経
験と実力が備わったはずだ。国にとっても企業や個人にとっても、二〇〇六年は強い時代
の始まりとなる。
▽ソース:日本経済新聞(2006年1月1日付)