05/12/29 12:35:58
政府は、在上海日本総領事館の男性館員が、中国公安当局による「遺憾な行為」によって自殺したことを異例にも認めた。
「遺憾な行為」とは、端的に言えばスパイの強要などを意味するが、なおその真相はつまびらかではない。
だが、旧ソ連や中国など共産圏では、日本の外交官などを狙った活発な工作活動が行われているとされ、
今回の事件は「氷山の一角」(政府関係者)との見方も出ている。
鹿取克章外務報道官の「遺憾な行為」との表現について、外務省筋は「中国側の対応を強く批判した異例な表現だ」と解説する。
政府が、表向き「遺族の要望」や「プライバシー」を理由に、真相に立ち入ることを一切避けているなかで、
精いっぱいの表現ということのようだ。
しかし、真相をつまびらかにしない背景の一つとして、実際に中国側に何らかの機密情報が流れていた可能性や、
男性館員が揺さぶりをかけられていたのではないか、との憶測を呼んでもいる。
外務省や防衛庁は機密情報を扱うことから、工作活動の標的になるケースが多いという。
共産圏では、こうした事件は過去にもあった。
例えば、昭和五十七年、国家保安委員会(KGB)の機関員であるソ連紙の特派員が、米国議会で工作活動を証言し、
多数の日本人エージェントを使って政治工作をしていた実態を暴露した「レフチェンコ事件」などがそれだ。
中国も対外工作活動を積極的に展開しているとされる。
今年五月、在シドニー中国総領事館で働いていた一等書記官がオーストラリアへ亡命申請し、雑誌のインタビューで、
日本国内で活動している中国のスパイは千人を超えると証言。
警察庁が昨年、警察法施行五十周年を記念してまとめた特集では、中国の情報収集活動について
「機関員が前面に出ることなく、日本人エージェントなどを活用するなどの方法で、諸工作を展開している」と分析している。
だが、今回のように、海外に駐在する日本の外交官にまつわる事件が表面化したのは、まれなケースだろう。
こうした工作活動が語られるとき、「女性の影」が取りざたされることも少なくないようだ。
北京でも日本の外交官が過激なサービスを行う店に出入りしたり、大使館ナンバーの車が深夜、
スナックの入り口近くに長時間駐車されていることがあるという。
中国では女性が同伴、過激なサービスをするスナックやカラオケ店が多数あるが、多くは公安、軍関係の後ろ盾があるとされる。
たとえ自ら「違法行為」を犯さなくとも、その場にいただけで取り調べを受ける理由になり、「弱み」になるケースもあるという。
今回の事件に関し、中国駐在経験のある元外交官は、首都の北京での勤務と、経済自由化の進む上海とでは「雰囲気が違う」と指摘し、
開放的な上海市の空気による自覚の緩みが背景にあった、との見方を示しているのだが…。
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