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ほぼもくエッセー卒論】 「韓国で仕事をするということ」(2)
毎週木曜日に「ほぼもくエッセー」を書いてくれた公認会計士の黄泰成(こう・たいせい)
さんが、いよいよ会計事務所での駐在勤務を終えることになりました。今週はその
黄泰成さんの「卒論」を5回連載でお届けしています。今日はその第2回目です。【編集部】
僕が駐在勤務した2002年12月から2006年7月という時期は、日系企業の韓国
進出がとても活発化した時期だった。2004年がピークだったという気がするが、
次から次にいろんな案件が持ち込まれた。相談内容は様々で、あとは会社設立
手続をするだけという段階にある会社もあれば、これから事業計画を作成し社内稟議に
廻すための情報収集という会社もあった。
典型的な相談のうち、「合弁会社を設立しようと思っているんだけど、留意点は何ですか」
というのがある。話を聞いて見て再考の余地があるのであれば、「合弁会社はできる限り
避けた方がいいと思います」と答えるようにしている。これは僕の上司の経験談や
僕自身の経験からも、合弁会社で本当に成功している日系企業をあまり見たことが
ないからだ。「合弁」とは名ばかりで、技術だけパックンチョされて、会社経営は自分の
好き勝手放題に行い、日本側を無視する会社が一般的だ。
◇
そんな中、合弁相手を得意先から指定された上で、韓国に工場を作らされた会社に
携わったことがある。当該プロジェクト担当者の日本人B氏とは、会社設立前から
ずっと連絡を取り合い、合弁契約書の作成、会社設立、その他もろもろと、色んな
場面で一緒に力を合わせて頑張ってきた。
時には合弁相手の課長から僕宛に見当違いな電話もかかってきて、「おまえの
ような会計事務所なんてすぐに首切るぞ」と怒鳴られたことも。韓国でも特に血の気の
多い地域であることから、この合弁もさぞかし大変だろうなと思っていた。
案の定、会社が設立し,工場が竣工した後でも、次から次へと問題が続出。もともと
細身のB氏は、会うたびにどんどん細くなっていく。韓国に来てから半年で10キロ近く
痩せたとのこと。以前に急死された日本人駐在員A氏の境遇にあまりにも似ていたため、
何とかB氏の力になりたい、どうか倒れないで欲しい、と願いながらできる限りの
相談を受け続けた。
決して弱音は吐かないし、会うたびに「韓国がだんだん好きになってきた。会社にも
とても愛着があるし、一緒に働いている人たちとも仲良くなってきた。」と話されて
いたが、それが半分以上は嘘で、自分に言い聞かせている言葉であるような響きがあった。
◇
それから約2年後、B氏は日本に帰国することになった。B氏にとっては道半ばでの
担当者交代なので悔しい思いをされたかもしれないが、僕にとっては寂しさとともに
何故かほっとする気持ちがあった。
先日、僕の後任を連れて退職の挨拶をB氏にする機会があり、食事まで一緒にした。
韓国では見ることのできなかった生き生きした表情のB氏を見て何だかとても嬉しい
気持ちになった。が、逆に韓国に来てつらい思いだけをして、あまりいい思い出を
持たずに帰っていかれる人たちが大勢いる現実を目の当たりにして、少々さびしい
気持ちにもなった。
本当に日韓経済が親密になっていくためには、韓国で勤務した日本人の一人でも
多くの人が「韓国で仕事をして良かった」と心から思えるような状況になっていく必要が
あると思うし、そのような環境を少しでも整えていくことに僕の力でできることがあれば、
少しでも貢献していきたいと思う。
ソース(KRN・SJC韓国ニュース)
URLリンク(www.sjchp.co.kr)年07月19日(水)