04/07/10 01:47 wKlJ4rCA
中公文庫に「高砂族に捧げる」鈴木明著(M131)より
高砂族がよく描かれている良書だと思います。
以下は印象的な文を抜き出したものなので、先入観を植え付けやすいものかもしれませんが、
その点は許してください。
P87 義勇隊参加者の「和田さん」の話
「義勇隊にとられた時は、どんな気持ちでしたか?」
「とられたのではありません。自分で行ったのです。自分精神で行ったのだから、誰にも文句は言いません」
彼は語気を強めて、そういった。
P90 差し入れてもらったおにぎりを食べられなかった日本人兵士の話
そのうちの一人の兵隊がなぜか憑かれたように立ち上がり、傍に建てられた粗末な墓に握り飯を添えて、
全身をふるわせながら「オレにはこの握り飯は食えない」と慟哭するのである。
「どうしたのですか?」福島報道班員はきいた。傍の兵隊が、それを説明した。
「あの墓には、Bという高砂義勇隊員が眠っているのです。ニューギニアの作戦の当初から、
われわれはBとともに戦ってきました。食料のない日が何日も続きました。
ある日、Bはずっと後方の兵站基地にさがって、食料を運ぶことになりました。
ところが、その次にBに出会った時には、Bは死んでいました。五十キロの米をかついだまま、
Bはジャングルの中で飢え死にしていたのです。背中の米には一指もつけずに・・・・・・」