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>>264の続き 『還ってきた台湾人日本兵』 河崎真澄:著 文春新書:発行 から引用
日本兵にとって、ジャングルでの行軍は不慣れだ。軍刀は草木や、蔦を切って道を
開くのに役立たなかった。赤道直下の湿地帯では、軍靴が破れると一歩も歩けなく
なる。食料や飲料の調達にも、事欠く事態になってゆく。
こうしたジャングル戦に、台湾の先住民が志願した「高砂義勇兵」は、驚くほどの力を
発揮した。
ラバウルの第八方面軍司令部に勤務していた中尉の小俣洋三(81)は陸軍中野学校
出身者で、第二義勇隊長としてニューギニアで高砂義勇兵を指揮した一人だ。
「ジャングルでの方向感覚や夜目が利く視力、食料となる動植物の知識や敵に立ち向かう
勇敢さ、そして彼らの徹底した忠誠心にだれもが下を巻いた」
小俣はニューギニアで負傷し、後に病院船で帰国した。
「四人の高砂義勇兵が木を切って担架を作り、意識不明だった私をジャングルのなかから
何週間もかついで港まで連れてきてくれた。今こうして生きているのは、義勇兵のおかげ」
こう言って小俣は電話口で言葉を詰まらせた。