10/03/28 01:09:26 arkp7fEW
あの綺麗な夕べ、
あたしは確かに一度死んだのです
ひだの揺れるスカートをどこまでも欲した
こどものあたしは死んだのです
光、光を求めてやまない
その瞳は
蛍光スタンドのスイッチひとつで
しあわせだ、と呟いた
夢みたい、と微笑んだ
それだけで生きていけると
すべての意味がそこにあると
思い込んで泣いていた
ちいさなあたしは死んだのです
あたしが殺めたのです、
この手で。
占いのカードを引き裂きました
もう戻りません
こどものあたしは死んだのです
かばんの底のメモ帳も捨てて
灰色のごみ箱をうっとりと眺めた
そこからはじまるのです
そうやってやり直そうと思ったのです
そのときから、
もう戻らないと。
答えは案外、なんてことないものでした
その行為に意味なんて無いのです
ただ、爪あとを
深く残しておきたかった
傷つけられた記憶をあざやかに
歪みとして
弱みとして
あたしだって、完璧ではありませんので
たまにはこどものあたしで泣きたいのです
誰もいない片隅で、
誰にも知られずに。