10/07/14 20:04:00 yTrHYY4G
>>280続きというか、すったもんだ微妙な仲で付き合っているうちに大きな事件にぶちあたり、
まあそれで熊おっさんと藻子の仲が一つ山越えるってあたりを色々すっとばして妄想した。
男の「仕事」を時折サポートするようになっていた藻子。
仕事が仕事だけに、大小取り混ぜトラブルに巻き込まれることはままあったが、とうとう生命にかかわる程の
大きな事故に遭ってしまう。
(ガス管に細工をされて事務所ビルが爆発するとか、高速で謎のトレーラーに追いまわされてPAへ逃げ込むも横転とか)
普段から疎遠らしい藻子の家族には連絡がつかない。
心残りではあったが、男は原因となったトラブルにケリをつけるため出て行く。
全てを片付け、男が戻って来たのは10日あまりの後。
依然意識不明のまま、病院のベッドに横たわる藻子。
自発呼吸こそしているが、チューブや管に繋がれ、包帯を巻かれた姿が痛々しい。
「藻子」
呼んでみる。 返事はない。
「オイ、藻子よ」
明らかに白く薄くなった頬の線を指でなぞってみる。 だが、藻子は身じろぎもしない。
覚えず一歩引いた足が備え付けのパイプイスに当たる。そのままよろけるように腰を落とす男。
男の体重を受けかねて、イスがギシ、と無骨な音をたてる。
「…オレぁなあ藻子、オマエの笑った顔が…好きなんだよ」
眠る藻子の顔を覗き込む。
「だのに、笑った顔を思い出そうとしても頭ン中のオマエときたひにゃ、すぐ怒った顔になっちまいやがる…
オレぁおっさんだからよ、このままだとオマエの笑い顔、忘れっちまうかもしれねー」
そっと掌で藻子の頬を包み込むと、ほのかに熱が伝わってくる。
藻子の生きているその証を確かめるように、逃がさないように、顔に顔を寄せる。
「…忘れちまう前に目ェ開けてくれよ、藻子…笑ってくれなくてもいーからよ…
どんな表情してるオマエも全部好きなんだよ…目ェ開けてオレを見てくれよ…藻子よぉ…」
「―――ぉ さん…ひげ…そ…れょ」
「!!? 藻子?」
「ぶしょ…ひ げ…いてぇ……よ おっさ ん」
「おま―いきなりソレか!? てか、そんなやつれ顔で憎まれ口叩くんじゃねー!ドブスに見えるぞ」
「…ど んな顔でも…好き…っつった…じゃん」
「!!!」「…w」
「う、うるせぇもう喋んなこの死に損ない!!…主治医呼んでくるからおとなしく待ってろアホウ!」
真っ赤な目と顔を隠すようにして、乱暴に病室を出て行く男。
『呼びに行くって…ナースコールがあるのに…』と思いながら、その大きな背中を幸せそうな笑顔で見送る藻子。
これでおっさんは藻子に尻尾を握られてしまうわけだが、とりあえずはっきり告白→きっちり両思い
になるまで、あともう一山か二山は越えてもらいたいと思う次第。